研究課題/領域番号 |
15K06264
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
塚本 直幸 大阪産業大学, デザイン工学部, 教授 (20247878)
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研究分担者 |
Perry 史子 大阪産業大学, デザイン工学部, 教授 (10238719)
吉川 耕司 大阪産業大学, デザイン工学部, 教授 (80220599)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 土木工学 / 都市交通計画 / 社会的合意形成 / 路面電車 / LRT / 都市景観 / GIS / 海外調査 |
研究実績の概要 |
本研究は、路面電車等の路面公共交通の整備が、沿線地域の社会、経済等の活動に与える影響を、国内と国外の事例・データ収集、分析に基づき、実証的に明らかにしようとしたものである。具体的には、沿線土地利用、商業の発達、都市景観面への寄与、地方行政における社会的合意形成や社会的融合等への影響である。 平成30年度には現地での治安問題等により延期していた欧州での現地調査を再開し、スペイン・アンダルシア地方のLRTの整備状況、整備課題について現地調査およびトラム担当部局にヒアリングを行い、平成29年度までのフランスとスペインでの事例調査に新たな知見を加えた。具体的には、フランスとは異なり、自治体の一般財源をベースとして行われているスペインでのトラム整備の成果と課題、アンダルシア州政府の主導下で行われたハエンやベレスマラガでの新規トラムの運行休止問題等について考察した。 当初の研究の目的等に照らして本研究では十分な成果が上げられた。期間全体での概要を以下に示す。(1)国内路面電車沿線の土地利用、商業施設分布状況データをGISベースで分析し、路面電車が沿線土地利用や商業立地にどのような影響 を与えたかを定量的に把握し、路面電車の有無が、商業発達に寄与していることを明らかにできた。(2)フランス、スペイン等数十都市の現地調査によるトラム関連施設(停留所、架線、軌道、付属施設等)について、都市景観の中にそれら施設のデザイン特性を位置づけ、歴史的経緯や周辺環境等との関連から分類して考察し、これらLRT特有のデザインが、歩行者空間の上質化 (安全性、心地よさ、わかりやすさ、バリアフリー、美しさ、周遊性、都市のシンボル性等)に大きく寄与していることを定性的に明らかにした。(3)国外事例も含めて、路面電車新設における地方財政の役割、国内既存路面電車への公的支援の重要性を明らかにした。
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