本年度はこれまでに行った全国の中心市街地活性化計画に関わるフォローアップ報告の分析と「販売額」が基準値より改善した5地区に対する現地踏査・ヒアリング調査の結果を再吟味し、Hesterの「結合性(Connectedness)」理論を踏まえた考察について論点整理を行った。その上で、ハード整備による活性化方策の充実に比べ、人的交流等のソフトに関わる活性化が未だ発展途上であることの問題性について再確認し、その対応策の一つとなる「利用者数」「利益」「時間価値」の3軸による立体的活性化評価手法に対する試論的考察ならびに中活計画実施済96地区(94市)への調査から得られた有用性の検証結果について再確認した。 これにより、現在市街地の活性化を評価する定量的指標が一時的・短期的なものに偏る可能性を示唆したうえで、「時間価値」を導入した活性化評価の重要性が一定程度認められる一方、時間価値評価の制度的導入に対しては計測方法や定義の確立が課題であることを明確化した。さらに時間価値を加えた活性化指標の拡充が活性化そのもののあり方を市民と共に再考できる契機として有用であり、そうした再考過程として実証実験や事前調査・検討がいかに機能すべきか、波及効果を目指すうえでどのように有用か等について考察を行った。
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