研究課題/領域番号 |
15K06272
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
吉田 登 和歌山大学, システム工学部, 教授 (60263224)
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研究分担者 |
山本 祐吾 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30379127)
つる巻 峰夫 和歌山工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (40413819)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シェアリング / 廃棄物バイオマス / 連携 / 環境インフラ |
研究実績の概要 |
本年度は、エネルギーレジリエンスを考える対象として、下水汚泥からのエネルギー回収を取り上げ、全国の産業工場やごみ焼却場を地域におけるエネルギー回収装置としてシェアリングを図る可能性について検討を行った。まず全国の下水処理施設での未利用汚泥熱量と各地域の汚泥熱量と産業工場、ごみ焼却場の受入可能熱量との関係について考察した。次に、各汚泥燃料化技術のGHG収支をもとに汚泥燃料の産業工場、ごみ焼却場への配分ルールを設定し、下水汚泥の燃料利用による全国レベルでのGHG削減効果を推計した。分析の結果、150km圏内の製紙・セメント・石炭火力での汚泥燃料利用及び下水処理場と同一市町村内のごみ焼却場での汚泥混焼により全未利用汚泥量の約85%のエネルギー利用が可能であり679千t-CO2のGHGが削減されると推計された。さらに製紙工場での汚泥混焼率の変化がGHG削減量に及ぼす影響の地域的な特徴を明らかにした。 また、少子高齢化、過疎化の問題に同時に直面する地方圏域で生活排水処理,廃棄物処理等の静脈系インフラの維持運営が難しさを増している中、従来、別系統のシステムで運営されている生活排水処理と可燃ごみ処理を連携(相互シェアリング)させてエネルギーリサイクルの促進と効率化を図ることによって、このような圏域でも適用できるシステムにより削減できる温室効果ガス量を検討した。可燃ごみのメタン発酵、発酵分離水の処理、発酵残渣及び排水処理汚泥の焼却等の対策に技術進展を加味した連携によって現在のシステムに対して約40%の削減の可能性があることがわかり、連携(相互シェアリング)の有効性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
廃棄物バイオマスからのエネルギー回収でエネルギーレジリエンスを高める方策について、全国規模での社会展開のポテンシャルを定量的に解析することができた。また発展的な課題としていた、シェアリングにより、地方域のウェットな生活系廃棄物バイオマスの処理インフラを維持しつつエネルギー回収によりエネルギーレジリエンスを高める方策についても、定量的な事例分析を進めることができた。 これらの内容を、複数の査読論文としてまとめることができたため、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、研究計画にもとづき、防災(ごみ焼却場を災害拠点として活用する)等の、エネルギー以外のレジリエンスに関する検討を行う。 また、環境レジリエンスの強化に伴う地域経済への効果を評価するための社会会計モデルの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析に関する消耗品費の支出額が予定よりも削減されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度助成金の消耗品費と併せて執行する。
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備考 |
産業エコロジー研究室(吉田ゼミ) https://sites.google.com/a/g.wakayama-u.jp/yoshidalab/
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