研究課題/領域番号 |
15K06278
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
角野 晴彦 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50390456)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 排水処理 / DHSリアクター / 高酸素濃度 / 排水の間欠供給 / 窒素除去 / 汚泥削減 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、空気条件のDHSリアクターで連続供給運転と間欠供給運転の2系列を用意し、処理性能と汚泥性状を調査した。処理対象の排水は、学校の実下水とした。処理温度は20℃とした。間欠供給運転は、供給30 min、停止30 minを1サイクルとした。HRTは、5 hと3 hとした。 連続処理性能は、連続供給運転と間欠供給運転に大差はなかった。ただし、HRT 5 hにおける間欠供給運転では、連続供給運転よりも処理水中のNO2-Nが多く検出された(最大8 mgN/L)。これより間欠供給運転は、連続供給運転に比べて好気状態が乏しくなっていたと考えられる。 保持汚泥濃度(MLSS、MLVSS)は、HRT 5 hにおいて、連続供給運転と間欠供給運転に大差はなかった。HRT 3 hにおいて、連続供給運転と間欠供給運転のMLSSとMLVSSは、リアクター最上部の第1セグメントで同程度であったが、リアクター中部の第3セグメントで間欠供給運転が5割程度低かった。第1、3セグメントのMLSS(MLVSS)の平均は、連続供給運転で14.9(13.3)g/L-sponge、間欠供給運転で11.4(9.9)g/L-spongeとなった。ここで、間欠供給運転による汚泥生成量の削減が認められた。この汚泥生成量の削減方法が確立されれば、DHSリアクターの高負荷化に繋がる。 間欠供給運転のHRT 3 hの第3セグメントでのみにおいて、酸素消費速度が低いにも関わらず、MLSSが低いという関係があった。この関係は、昨年度の類似の研究結果と合致しており、間欠供給運転による汚泥生成量の削減の機構解明に重要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空気条件のDHSリアクターの実験では、間欠供給運転によって保持汚泥濃度が減少した。この現象は、昨年度の類似の研究成果でも認められており、再現性が得られた。このように保持汚泥濃度が減少することを予め想定し、懸濁物が含まれる下水を供給した。しかし、想定以上に汚泥濃度は減少し、脱窒が進行するような無酸素状態には至らなかった。 一方で、間欠供給運転によるHRTの短縮(高速化、高負荷化)に目途がついた。本研究の目的のひとつである“速い”という点では、評価できる成果である。
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今後の研究の推進方策 |
Hi-DHSリアクターあるいはDHSリアクターによって、有機物除去に注目した間欠供給運転の排水の供給時間と停止時間を詳細に検討する。また、内生呼吸と基質分解による酸素消費速度を測定し、間欠供給運転による汚泥生成量の削減機構に迫る。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題は、平成27年度4月の時点で不採択であり、平成27年度11月に交付決定された。そのため、平成27年度当初から、別の研究費と既存の装置・機器・消耗品等を充てて研究を進めていた。平成28年度は、長期の実験に対応するために、適宜、装置や機器の消耗品交換や更新に予算を支出した。しかしながら、計画していた装置や機器の消耗品交換や更新が、全て終了しておらず、直接経費が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、消耗品交換や更新が終了していない装置や機器に対して、随時経費を支出し、研究環境を整える。
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