研究課題
本年度の研究は、気相部条件が異なる2つDHS(Down-flow Hanging Sponge)リアクターで間欠供給運転の効果を調査した。一方は気相部が酸素条件のHi(High DO)-DHSリアクター、他方は気相部が空気条件DHSリアクターである。対象排水は、COD 1000 mg/L以上の中有機物濃度の産業排水とした。Hi-DHSリアクターでは、従来法である活性汚泥法の10倍速(COD容積負荷10 kg/m3/day)を連続供給と間欠供給で試みたが、間欠供給の優位性はなかった。DHSリアクターでは、COD容積負荷3 kg/m3/dayで連続供給と間欠供給で試み、両供給方法で排水基準を概ね満たした。特に、間欠供給の処理性能は連続供給より安定し、その優位性を明らかにできた。Hi-DHSリアクターとDHSリアクターの間欠供給の汚泥濃度は、連続供給より増加した。これは、DHSリアクターにおいて、好気と嫌気を制御するための重要な知見となった。補助事業期間全体を通じて、DHSリアクターの間欠供給運転は、連続供給運転と比較して異なる汚泥性状であった。ただし、排水濃度、有機物負荷、処理時間および間欠供給のインターバル時間の運転条件毎でも、異なる汚泥性状であった。間欠供給運転による好気と嫌気の環境の完全な制御には至らなかったが、DHSリアクター単体でかつ簡単な運転での脱窒、部分硝化および生物膜の肥大化防止を期待できる知見を得た。
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環境浄化技術
巻: 17 ページ: 29-33