建設作業振動対策では低振動型の建設機械や工法を用いる発生源対策が主流である。しかしながら,現場条件によっては発生源対策が有効でない場合がある。このような場合には防振壁や防振溝などの伝搬経路対策が検討されるが,対策が大規模になるので,狭小な現場では使いにくく,工期,費用の制約が大きい。そこで,本研究では伝搬経路対策として地盤表面に質量を与える方法(質量体)と,質量を制御対象とした振動数で共振させる方法(振動系)について検討している。 平成29年度は3次元地盤モデルによる数値解析と縮小地盤模型によって質量体と振動系による振動低減効果を検討した。数値解析では質量体および振動系とその周辺地盤を有限要素法でモデル化,地盤は成層地盤として薄層要素法でモデル化した。 質量体と振動系の低減効果を比較すると,振動系は質量体より低い振動数から低減効果を得やすく,振動源との評価点の位置と地盤振動の波長との関係でピンポイントの対策が効果的であることが明らかになった。質量体は高い振動数で低減効果を得やすく,地盤振動の波長に対する装置の大きさや,質量が効果に起因していることが明らかになった。
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