幼稚園や保育園の遊戯室、学校体育館、スポーツホール等の10mから60mほどまでの中小規模空間構造における非構造要素パネルすなわちガラスや木毛セメント、ALCのパネル、在来金属系下地天井のパネル等を対象とした。そして、本構造が極大地震を受けた時にそのパネルの崩落から生命を守る人的安全性について保障することを研究の主な目的とした。 (1)学校体育館等の大スパン建築物ではいわゆる特定天井を有する場合がある。大スパン建築物では、水平地震動のみを受けても梁の鉛直応答などの特有の振動性状が知られている。さらに、上下地震動を受けた場合の梁の鉛直応答も加わることが予見される。 本研究では、中地震を想定した上下・水平地震動を用いて、天井を有する方杖付きトラスアーチ架構の弾性地震応答性状を明らかにした。そして、アーチ梁特有の応答性状や天井の応答の増幅等に及ぼす上下地震動や方杖の取付け位置等の影響について分析・検討した。また、応答スペクトル法に基づいた等価静的地震力の算定法の精度検証とその妥当性を示した。 (2)本研究では、アルミニウム合金製の二層立体トラス壁型構造を対象とした。システムトラスによる立体トラス構造は軽量であり大スパン建築物の屋根構造にしばしば用いられている。また、金沢駅前バスターミナルに代表されるように壁型構造としても用いられている。二層立体トラス壁型構造は面内方向にせん断力を受けた際、その部材・材料構成、細長比や径厚比によっては、溶接部破断や、個材座屈による急激な耐力低下が考えられる。さらには、この破壊現象が連鎖的に進展し、構造全体が脆性的になり面外方向への節点移動に伴う仕上げ材等の二次部材の落下に影響を及ぼすような変形の発生も考えられる。したがって、本構造の面内方向に地震荷重が作用した際の応答を弾塑性地震応答解析により解明し、ヒューズ型接合部による損傷制御法を示した。
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