研究課題/領域番号 |
15K06297
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
藤田 正則 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (30449368)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 鋼材 / 木質材料 / 複合構造 / 木質床構造 / CLTパネル / スギ集成材 / ボルト / 面内せん断実験 |
研究実績の概要 |
2015年度には,中低層建物を想定して,鋼木質複合構造システム(Composite Steel-Timber Structure:CSTS)の鉄骨部分と接合するCLT床(Cross Laminated Timber)の接合法において,頭無しスタッドによる接着接合を考案し,CSTS梁とスタッドで接合されたCLT床の接合部の力学的性状を検討した。CSTS梁とCLT床に用いる木質材料はスギ集成材である。その際,床のCLTとCSTS梁とスタッドの接合に使用するスタッドがCLT床の厚さによってはロングボルトとなり,施工に難があることが判明した。これに対応するために,2016年度は,CSTS梁を構成する圧延H形鋼のフランジ上部に直接,CLT床をボルト接合するディテールに改良した。この場合,接合方法をスタッドからボルトに改めたことにより施工上の問題は解決したものの,CSTS梁が非対称断面となりその力学的性状が異なることが予想された。 そこで,接合方法をスタッドからボルトに改め,CSTS梁とボルト接合されたCLT床の面内せん断実験を行い,ボルトの長さ(ボルトの間隔:200mm),CLTの厚さが接合部に及ぼす力学的特性を検討した。その結果,下記のことが明らかとなった。 1.CSTS梁とCLT床の接合部はボルトの曲げ降伏に伴い,ボルトとCSTS梁およびCLT床の接触部分及びボルト座金裏面のめり込み変形による破壊である。この場合,CLTおよびCSTS梁に割裂は生じておらず,木質材料はスタッド接合した場合と同様に十分な耐力を確保できる。 2.CSTS梁とCLT床の接合部の降伏せん断耐力はCLTの厚さの異なる場合でも概ね同じである。 3.CSTS梁とCLT床の接合部の降伏せん断耐力は,ヨーロッパ型降伏理論による算定値の約1.2倍となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鋼木質複合構造システム(CSTS)の梁と接合するCLT床の接合法として頭無しスタッドによる接着接合を考案した。この場合,試験体の製作にあたって,床のCLTとCSTS梁と接合に使用するスタッドがCLT床の厚さによってはロングボルトとなり,施工に難があることが判明したので,その改良型を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
鋼木質複合構造システム(CSTS)の梁と接合するCLT床の接合法として,CSTS梁を構成する圧延H形鋼のフランジ上部に直接,CLT床をボルト接合する梁の曲げ実験を行い,中立軸の変動に伴う曲げ性状を検討する。
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