研究実績の概要 |
最終年度では, 鋼木質複合構造に適合する床構法として,CSTS梁とCLT床の接合にスタッドあるいはボルトを用いた接合部の基本的な力学的性状を把握するため,面内せん断実験を行った結果を踏まえて考察を行った。 1) CSTS梁とCLT床の接合部は,スタッドあるいはボルトの曲げ降伏に伴い,CSTS梁とCLT床の木質材料の接触部や座金裏面の支圧破壊である。全ての試験体において,試験体中央のCSTS梁材が載荷方向に沈み込むように変形したものの,CSTS梁とCLT床の木質材料には割裂破壊やせん断破壊は生じていない。L100P100(接合具長さ100mm,ピッチ100mm),L130P100(接合具長さ130mm,ピッチ100mm)のスタッドは主にCSTS梁側の集成材の内部で大きく曲げ変形が生じていたが,L160P100においてはCSTS梁材の内部とCLT床で大きな曲げ変形が確認された。FEM解析においても同様な変形性状を確認した。 2) スタッド接合としたシリーズ1,シリーズ2の場合, 接合具長さ100mm,130mmの試験体は降伏ヒンジがCSTS梁側で生じる降伏モードⅢb(塑性ヒンジ:1箇所), 接合具長さ160mmの試験体は降伏ヒンジがCSTS梁側とCLT側で降伏する降伏モードⅣ(塑性ヒンジ:2箇所)に該当する。ボルト接合としたシリーズ3の場合,全て降伏モードⅣに該当する。 3) CSTS梁とCLT床の接合部の降伏せん断耐力は,スタッド接合の場合,接合具長さが長くなるに連れて増加する。 4) CSTS梁とCLT床の接合部の降伏せん断耐力の実験値は破壊モードⅣにおいて,算定値と概ね一致するものの,破壊モードⅢbにおいて,低めの評価となる。
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