(1)ペーストの流動性に対する粉体の粒子形状および粒度の影響の検討: 各種粉体を用いたペーストの流動性に対する粉体の粒子形状、粒度分布、および混和剤の添加に伴う粉体の分散の影響を検討した。その結果、フロー試験でペーストが流動を開始する水粉体体積比(拘束水比)は、粉体の粒径が大きくて、粒子形状が丸みを帯びているほど低くなる、などの知見を得た。 (2)円筒貫入試験による分離評価値に対する使用材料および調合条件の影響の検討: 広範な実験要因を設定し、コンクリートの材料分離抵抗性を円筒貫入試験により評価した。その結果、コンクリートの分離抵抗性に対しては、マトリックスモルタルに関わる要因が大きな影響を及ぼし、粗骨材に関わる要因は大きな影響を与えない、などの知見を得た (3)細・粗骨材量が構造体コンクリートの分離度合いに及ぼす影響の検討: 障害鉄筋を配置した小型壁試験体に12種類のコンクリートを打ち込み、細・粗骨材量がコンクリートの鉄筋間通過能力(単に通過しやすいか否かという能力)および鉄筋による粗骨材のブロッキングに対する抵抗性に及ぼす影響を検討した。その結果、①粗骨材量が多いほどコンクリートの狭隘鉄筋間の通過能力は低下する、②粗骨材量が多いほど、また、細骨材量が少ないほど、ブロッキングに対する抵抗性がやや低くなる、などの知見を得た。 (4)地面の違いがコンクリートの乾燥収縮に及ぼす影響の検討: 地面からの水蒸気の蒸発がコンクリート構造物の乾燥収縮に及ぼす影響を検討するために、建物周辺の地面を土面と舗装面の2種類として、コンクリート部材内部の相対湿度・乾燥収縮ひずみや環境の相対湿度などの高さ方向の分布を測定した。その結果、地面から1m程度の高さまでは環境の相対湿度が高くなっており、コンクリートの乾燥収縮ひずみもそれに応じて小さくなる、などの知見を得た。
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