研究課題/領域番号 |
15K06314
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
堺 純一 福岡大学, 工学部, 教授 (30215587)
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研究分担者 |
田中 照久 福岡大学, 工学部, 助手 (90588667)
倉富 洋 福岡大学, 工学部, 助教 (50709623)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 鋼コンクリート合成構造 / 耐震性能 / 載荷実験 / 柱梁接合部 / 外ダイアフラム / バンドプレート |
研究実績の概要 |
筆者らは、鉄骨鉄筋コンクリート構造の特徴である高耐震性能のさらなる向上と建設工事における省力化・省人化を目指した鋼・コンクリート合成柱を用いた構造システムを開発することを目的として,鋼コンクリート合成(SC)柱材の耐震性能について調べ,同柱が優れた耐震性能を保有することを明らかにしてきた.本研究では,このSC柱と鉄骨梁で構成された骨組を対象として,力学的に合理的で施工性に優れた柱梁接合部の開発を行うことを目的としている.平成27年度は,SC柱と鉄骨梁の柱梁接合部ディテールの違いが接合部での応力伝達能力および骨組の弾塑性変形性状に及ぼす影響を調べるために2シリーズの載荷実験を行った.それぞれの実験で得られた知見を以下に述べる. ①SC柱と鉄骨フランジで構成された接合部の引張試験 梁フランジの応力を外ダイアフラムと内スチフナおよびバンドプレートで構成された接合部を研究対象として,14体の試験体を製作し,引張試験を行った.実験の結果,梁フランジの引張力を発揮させるために必要な外ダイアフラムの必要幅を決める設計式を確認できた.また,バンドプレートを柱梁接合部に設けることにより,外ダイアフラムの必要幅を軽減できることを示した.さらに外ダイアフラムおよびバンドプレートを適切に付けておけば,内スチフナは必要ないことがわかった. ②SC柱と鉄骨梁で構成された十字形骨組の載荷実験 十字形架構試験体を5体製作し,地震時応力に対応する荷重を載荷する実験を行った.実験の結果,内スチフナを設けなくても,外ダイアフラムとバンドプレートを適切に設けておけば,梁の終局曲げ耐力を柱梁接合部に伝達させることができ,骨組は優れた耐震性能を示すことを明らかとした. 鉄骨の応力を伝えるために必要とされてきた,施工上,手間のかかる内スチフナを削除できることを明らかにできたことは,有意義な成果が得られたと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では,平成28年度は試験体の製作にとどめていたが,鋼コンクリート合成柱と鉄骨梁で構成された柱梁接合部のディテールを明確にして,引張試験および十字形骨組の試験体の製作し,載荷実験を行った.実験結果が当初より想定していた結果とほぼ同様であり,本研究を遂行する上での問題点はなく,順調に進んでいる.ただし,平成27年度の実験結果を受けて判断すべき項目があるため,平成28年度の当初の研究計画と合わせて,平成28年度に試験体を製作し,載荷実験を行うこととする.
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今後の研究の推進方策 |
梁鉄骨の応力を柱梁接合部に伝える上で,バンドプレートが非常に有用であることを平成27年度に明らかにできたので,平成28年度は外ダイアフラムとバンドプレートをさらに合理的に設計するための条件を明らかにしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に計画した試験体の実験結果をみて,次年度に計画すべき試験体があったため, 一部の試験体製作費を平成28年度に繰り越した.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に計画している試験体と併せて,試験体の製作費に充てることにしている.
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