(1)ファサードと空調システムの省エネルギー性・室内快適性の評価 (a)省エネルギー性と室内快適性の年間特性評価として、熱負荷、PMV、OTの積頻度曲線を利用する評価法を提案し、ルーバファサード、ダブルスキン(DSF)、エアフローウィンドウ(AFW)の特徴を比較した。また、AFWに全熱交換器を併用する効果の推定法を示し、主要都市における効果を比較した。(b)種々のファサードの地域適合性評価として、一般窓、AFW、DSFが国内のどの地域に適するか明らかにするため国内約840地点の年間空調熱負荷を数値計算し、カラーマップにより可視化して比較する手法を示した。(c)ルーバファサードの傾向分析として、形態分類を行うともに、DSFとの省エネルギー性能比較を国内外の代表都市について行った。 (2)自然換気利用建築の熱性能評価法の妥当性検討 昨年度に開発した自然換気制御の計算法について、自然換気ビルの実測結果をもとに妥当性の検証を行った。風量収支を解かない計算法でも中性帯位置を適切に仮定すれば、設計段階での利用に適することを確認した。さらに別途、自然換気の風量収支解析から、風力換気による室内圧や自然換気量変化への影響を確認した。 (3)種々の外気導入制御の基本効果解析 自然換気、外気冷房、最小外気量制御、全熱交換器による熱回収を外気導入制御と位置づけ、それぞれの手法の効果の時刻変動、季節特性を確認するとともに、国内代表都市での省エネルギー性能を比較した。 (4)ファサード高性能化手法と外気導入制御法の複合効果の評価 ファサードの高性能化手法と外気導入制御手法の複合効果を国内約840地点の年間空調熱負荷計算結果から解析した。外気負荷抑制手法は寒冷地での効果が大きいが、外気利用手法は全国で同程度の省エネルギー効果を期待できることがわかった。
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