研究課題
【手術室環境】昨年の報告通り、術者向け層流21℃・術野向け層流25℃設定で、左右の術者立ち位置(床から150cm)で21.8±1.1℃・21.9±1.5℃、手術台の上で23.7±1.0℃と効果を認めたが、室内の清浄度を維持する「手術室エアコン」としての機能については、FED-STD-209のclass10000の部屋5室で、空調始動後に施設基準を満たすまでの時間が9.2±2.4分、空調が安定した後の微粒子数(0.5μm以上および5μm以上)が278.4±379.6個/ft3と十分な清浄度を保っていると言えた。【患者情報】旧手術室で実施した手術症例の患者体温と新手術室で実施した例についての比較では、胃癌160例、大腸癌316例を対象とした。男女別の比較では手術開始後10~100分までに体温が手術開始直前の体温と比較して0.5℃以上低下する頻度は、男性胃癌症例で旧手術室の726測定ポイント中173ポイント(22.9%)に対して新手術室で300測定ポイント中8ポイント(2.7%)であり、女性胃癌症例では旧手術室の340測定ポイント中126ポイント(37.1%)に対して、新手術室で230測定ポイント中2ポイント(0.9%)であった。同様に男性大腸癌症例では旧手術室で1133測定ポイント中340ポイント(30.0%)に対して新手術室では717測定ポイント中68ポイント(9.5%)、女性大腸癌症例では旧手術室で891測定ポイント中371ポイント(41.6%)に対して新手術室では380測定ポイント中34ポイント(8.9%)であった。これらは有意差を認めている。【現在時点での結論】本院手術室の新しい発想の下で設置した空調設備は清浄度を保つための手術室空調としても問題なくその機能を発揮しており、加えて鏡視下手術時の適正な体温保持に有用であり、周術期の患者合併症を軽減するのに有用と考えられた。
3: やや遅れている
一部の報告が未実施である以外ほぼ順調に進んでおり、患者体温の推移については投稿を終えている。手術室環境に関するデータに関して現在論文化を進めている所である。
現在投稿中の論文について査読結果を確認の上で、必要に応じて掲載されるよう加筆する。手術室環境についても現在論文化の過程にあり、これを完成させる。
平成29年度に、それまでの研究成果を国際学会で発表すべく準備をしていたが、その国際学会の直前に、研究代表者自身の身内に不幸があり、学会への参加ができなかったため、その部分の費用が未使用であり、今後の研究にこれ使用する予定である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
手術医学会誌
巻: 38-2 ページ: 26頁~32頁