研究課題/領域番号 |
15K06348
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
木下 勇 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (80251148)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | プレイスメイキング / アイデンティティ / まちづくり / 持続可能性 / オープンスペース / DIY / 場所 |
研究実績の概要 |
1.概念整理 既往研究や哲学の文献整理からプレイスメイキングをここでは「場所に人間の存在を関係づける人間の主体的な場づくり」と定義する。一般に公共空間対象に使用されているが、ここでは公共空間のみならず、私有空間の開放も視野に置く。その構成要素(指標)としては現段階で以下の点があげられる。アイデンティティの側面から:居場所性(個人と場所、自分らしく居られる居場所)、地域らしさの表出、イメージアビリティ(わかりやすさ)、シンボル(象徴)性、自発性。表象性の側面から:創造性 (DIY、創意工夫)、可変性、実験性(小さなことから)、冒険(チャレンジ)性、協働性、継続性。場所のセンスから:愛着、帰属意識、心地よさ、変換性。コミュニティ面から:交流・コミュニケーション、開放性、協働性、関係づくり、活性化。 2.東日本大震災被災地の事例 東日本大震災被災地の事例調査から若い世代を中心にDIY的なプレイスメイキングが多様に展開している例をみた。特にIshinomaki.2.0は行政の事業に依拠しない内外の若い世代のDIY的場づくりが活発に展開され注目される。 3.まちづくりにおけるプレイスメイキング 個人所有の空き屋や駐車場を地域に開くためのプレイスメイキングを実験的に行い、結果、自然と人が交流、アイデアの交換ができた。まちづくりの継続地域では担い手の高齢化が課題であり、このような自然偶発的な場づくりというゆるい関係に若い世代が関わることが期待される。 4.海外におけるプレイスメイキング 海外の情報収集と現地調査を行い、下記の点が把握された。食をきっかけとした場と人のつながりの形成(ライプツィヒ「日本の家」、英国・Incredible Edible, Todmorden他.)、開放された自由な表現・交流空間(クライスト・チャーチ、マニラ他)、ゲリラ的なプレイスメイキング(シアトル、ポートランド他)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内のまちづくりの継続地域において停滞している状況をプレイスメイキングで活性化というプロジェクト展開は地域の状況に応じてなかなか困難を極めている。米国のシアトルにてワシントン大学が行なっているDesign & Buildのように実際に場づくりを展開する予定であったが、場所の条件や時期の調整から困難な点があり、計画変更を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
実際にプレイスメイキングを東日本大震災被災地で展開する予定であったが、すでに豊富な事例が見られることもあり、関東における空き屋等を活用したプレイスメイキングに方向性を変えて、進めていくつもりである。場をつくればよいというものでもなく、後々の場の運営の仕組みも構築していく必要があり、そのように責任をもって展開できる場は身近な所に存在することから、アクションリサーチ的な展開の継続的発展を考慮して判断していく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を申し込んでいる洋書の納入が遅れているため。また年度末に予定していた出張が、本務の大学の都合でキャンセルとなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
購入予約した洋書の購入と2016年度の旅費に加えて使用予定。
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備考 |
クライストチャーチ、英国Todmorden のIncredible Edible などの事例の紹介
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