研究課題/領域番号 |
15K06348
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
木下 勇 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (80251148)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | プレイスメイキング / セーフティネット / 居場所 / 没場所性 / アイデンティティ / 空き家 / 空き地 / まちづくり |
研究実績の概要 |
当初は被災地の石巻にて、Placemaking の実験を行おうと企画したが、現地の状況から実施が不可能となり、石巻においては引き続きISHINOMAKI2.0はじめNPOの活動や、子どもの居場所となっている石巻子どもセンター「らいつ」や黄金浜ちびっこ遊び場の調査を実施した。特に子どもたちへのインタビューから被災後、避難所、仮設住宅周辺で遊び場もなく、6年間という子どもにとって重要な成長期に、ずっとそのまま自宅にこもりがちであった子どもが、子ども達自身が計画、建設に携わり居心地のよい場所をつくり出した「らいつ」、またISHINOMAKI2.0を通して外部から来るクリエィターに高校生が事業化を学ぶ「石巻学校」の結果、実際につくられた高校生が運営に関わるカフェ「(かぎかっこ)」のようなPlacemakingの事例の情報を集めた。 千葉県館山市でのかやぶきゴンジロウでは古民家の再生を行い、ギャラリー空間を学生のDIYで演出し、地元の陶芸家の展示会を開催したり、場所の運営の段階に入っている。 松戸市の松戸駅から千葉大学園芸学部への経路には、「Edible Way (食べられる道)」として野菜等を植えた布製プランターを沿道の協力世帯の入り口前に設置し、収穫時期には空き家で鍋ものなどコモンキッチンとしての試行を行うなど。地域のセーフティネット構築を意図した取り組みを継続的に実施している。とりわけ、このEdible Wayは口コミで広がり、近隣の自治会や他にも広がりを示している。 12日には香港で開催された、コミュニティデザイン国際会議に参加し、私空間を公に開いていく形態、公空間に私的空間的関わりを誘引する形態など、Placemakingの様々な形態についての情報を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のように具体的なプレイスメイキングを被災地で展開することは現地の状況で無理と判断し、南房総や松戸の地域で展開している。しかし、その実践により得られる知見も少なくなく。その成果をまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
松戸での展開は、さらに継続発展する可能性が高く、引き続き、布製プランターでの野菜など食べられる物の栽培と沿道の風景の形成に力を入れていく。道路と住戸の関係の構築があらたな場所の創造、沿道ランドスケープの変貌を特徴づけることになると予想される。また、太子堂2・3丁目まちづくりの長い歴史の中で、展示スペースの形成の事業が進行しつつあり、場所とアイデンティティの関係を。場所の歴史と絡めながら分析していく。かやぶきゴンジローもそのように場所、空間のもつ歴史性と新たな要素を入れた表象の空間化への展開もみられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画した被災地でのPlacemaking が現地の状況から実施不可能となり、対象地を松戸や館山市に絞って実施しているため、費用に余りが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、現在進行中のPlacemaking が本格的に展開するために、その実現化や、成果を印刷物としてまとめて情報発信に使用する。
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