研究課題/領域番号 |
15K06352
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
藤岡 泰寛 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (80322098)
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研究分担者 |
中井 邦夫 神奈川大学, 工学部, 教授 (40313340)
阿部 俊彦 早稲田大学, 総合研究機構, 客員主任研究員 (00608466)
前田 昌弘 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50714391)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 戦後 / 復興 / 防火帯 / 都市形成史 / ハウジング史 |
研究実績の概要 |
27年度は、主に次に挙げる研究に取り組んだ。まず、戦災に加えて約10年間の長期接収を受けた横浜の復興過程を対象として、接収解除が進み始めた昭和27年(1952年)以降、約10年間の復興過程の詳細な変遷、都市形成史の解明に取り組んだ。具体的には、昭和27年に成立した耐火建築促進法にもとづく防火建築帯の指定状況、指定後の建設動向などを、歴史資料の収集を通じて明らかとした。資料としては神奈川県住宅公社や横浜市建築助成公社などの団体史に加えて、当時の建築局が作成し現在は神奈川県立公文書館に保存されている行政書類一式などを収集し参照した。この結果、全国的にも例のない密度による防火建築帯の指定の変遷過程が明らかとなるとともに、戦前までの防火地区指定が、とくに戦後復興の初期の防火建築帯の立地に大きく影響を及ぼしていることなどが明らかとなった。また、共同建築推進による防火帯の促進が全国的には昭和32年ごろから広まることになるが、これに先駆けて、横浜市では県公社や助成公社による共同建築推進の取り組みが進められており、現在の都市景観にも色濃くその影響を残していることなどが明らかとなった。以上をJIA日本建築家協会神奈川地域会(会長飯田善彦)における防火帯建築研究会(代表笠井三義)とも連携し、研究成果を神奈川県建築士会活動交流会(第13回横浜大会)シンポジウムにて報告した。また、建設動向の把握と並行して、不動産登記簿謄本の入手等により、建築オーナーへの調査に向けたデータベースを作成した。また、調査票の設計に取り組んだ。他都市における防火建築帯造成状況の事例調査および研究交流として、山形市(日本建築学会東北支部山形支所企画シンポジウムにて報告)、大阪市・京都市(堀川団地再生プロジェクトの視察と合わせて報告)、鳥取市(若桜街道商店街などの防火建築帯および再生事例の視察とあわせて報告)などを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度は当初、1,建物所有者への調査、2,建設動向の時系列調査、3,公示地の分布・変動などの調査、4,他都市の事例調査・研究交流、の4つの研究計画を設定していた。このうち、2および4については、想定していた内容以上の成果が得られた。1については関係機関の協力を得ながら進めていくことが効果的と判断し、27年度はデータベースの作成と調査票の設計に取り組んだ。4については、山形市、大阪市、京都市、鳥取市の4都市の事例調査を行ったが、資料収集や視察だけでなく、現地での再生事例の調査や、研究交流、シンポジウムなどと合わせて実施することができ、極めて有益であった。3については、27年度取り組むことができなかったため28年度以降に取り組む予定である。以上より、おおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
28年度はひきつづき、1,建物所有者への調査、2,建設動向の時系列調査、3,公示地の分布・変動などの調査、4,他都市の事例調査・研究交流、の4つの研究計画を設定して進めていく。このうち、1については、関係機関の協力を得ながら、昭和27~36年度に建設された建築オーナーを対象とした調査を優先的に進める。2については昭和37~46年度に建設された防火建築帯の造成状況の分析および都市形成過程の解明に取り組む。3については27年度に取り組むことができなかったため、昭和27~36年度の状況把握から取り組む。4については、今年度は魚津市、沼津市、宇都宮市、名古屋市、大垣市、北九州市、などを予定している。また、鳥取市戎町地区と京都市堀川地区については、分担研究者が再生事業検討やまちづくり協議会等に参画しており、引き続き連携を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は大きく次の2点である。まず、分担研究者(前田)は主に京都市堀川団地を対象として戦後ストックの再生活用などを研究課題としているが、28年度にまとまった調査研究課題を予定しており繰り越すこととした。27年度、堀川団地にて研究代表者(藤岡)およびJIA日本建築家協会神奈川地域会のメンバーが参加して研究交流会を実施しており実質的に研究は進展しており問題ないと判断している。また、研究代表者(藤岡)は主に横浜市関内外地区を対象として戦後ストック(防火建築帯)の建設状況の把握や、再生に向けた課題把握などを研究課題としているが、建築オーナー向け調査を実施する上で、関係機関(JIA、横浜市)の協力を得ながら進められる見通しとなったため28年度に実施を延期し、繰り越すこととした。調査対象のデータベース化、調査票の設計は並行して進めており実質的に研究は進展しており問題ないと判断している。
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画としては、次の通りである。まず、京都市堀川団地においては、基礎資料の収集とあわせて再生事業の主体、事業手法、計画技術、将来ビジョンなどの調査を実施する。横浜市関内外地区においては、関係機関の協力を得ながらアンケート調査を進める。
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備考 |
「横浜の防火帯建築と戦後復興」とは、横浜の戦後復興を支えた防火帯建築について、一般市民向けにわかりやすく紹介するウェブサイト(試験公開中)です。
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