申請者は、国内外のスマートシティ・プロジェクトの事例を調査することで、スマートシティを実現するために必要な事業メニューを整理し、事業効果を省エネルギー性能、環境負荷低減効果、費用対効果として評価できる指標及びその算定式を構築した。また、事業の評価結果とあわせて、まちづくり事業実施後の都市空間イメージをCGとしてリアルタイムに表示できるまちづくり支援ソフト「スマートシティ・デザインツール」を開発し、同ソフトがまちづくりの議論に与える影響と支援ソフトを用いたまちづくり手法の有効性を明らかにした。初年度は国内59地域、国外4地域の先進事例地を対象として、スマートシティ事業において導入される省エネ・環境配慮技術や施策を整理した。中間年度には、全国で策定された環境基本計画及びその関連計画の内容から、主に①人口移動(住み替え、通勤通学、購買行動)、②省エネルギー技術導入、③再生可能エネルギーの導入、④緑化事業の各分野について、スマートシティ化に必要な施策シナリオを体系化し、シナリオを実施した際の効果を評価する指標(二酸化炭素吸排出量、一時エネルギー消費量、発電量、インフラ整備のイニシャルコスト及びランニングコスト等)及びその算定式を構築した。また、算出した計算式に基づいてユーザーが利用を検討するスマート技術を任意に選択した際に、効果指標を算定できるUIを開発した。 研究期間の最終年度は、開発したUIを基に、山口県内の既成住宅団地を対象にシナリオを適用した際の評価指標とシナリオ実施後の開発対象地の3DCGモデルとを連動して表示できる「スマートシティ・デザインツール」を開発して、市民、専門家らとスマート技術を導入した住宅団地再編計画の検討を行った。検討後にスマート技術に対する認知度や環境、省エネへの興味関心の変化、住宅団地再編の意向等をアンケートによって調査し、有効性を確認した。
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