研究課題/領域番号 |
15K06362
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐藤 亮子 愛媛大学, 地域創成研究センター, 准教授 (50554341)
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研究分担者 |
西山 未真 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (70323392)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 対面販売 / 直売施設 / フードハブ / ローカルフードアクセス / 生消関係 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、研究計画で想定していた国内現地調査および海外調査を実施した。国内現地調査では、神戸ファーマーズマーケットおよび弓削牧場(神戸市)、大原ふれあい朝市および里の駅大原直売所「旬菜市場」(京都市)、えひめオーガニックマーケットを訪ねた。また海外では、フレッシュファームファーマーズマーケット(ワシントンDC)、グリーンマーケット(ニューヨーク市)、ポートランドファーマーズマーケット、エコトラスト(ポートランド市)、バラードファーマーズマーケットおよびクイーンアン・ファーマーズマーケット(シアトル市)を視察調査した。 京都の大原ふれあい朝市は、常設直売所「旬菜市場」の隣で毎週日曜日に開催されている。出店者は同直売所の出荷者がメインであり、この環境が生産者、消費者、直売所、そして地域にどのような影響を与えているかをアンケートおよびヒアリングによって調査した。また神戸では、行政の政策にファーマーズマーケットが位置付けられており、農業の存在が市民に十分知られていないなか、マーケットを開くことで認識を高め、農業者のチャンスにもしようとしている。全体に新規就農者の支援の場にもなっていた。えひめオーガニックマーケットは、オーガニックに特化した愛媛で初めてのマーケットであるが、すでに歴史の長いクラフト市と連携して運営することで、安定した集客を獲得しつつある。 アメリカでの調査の主たる目的は、ローカルフードハブの現状を見ることであった。ニューヨークのグリーンマーケットが運営するハブは業務用のファーマーズマーケット的な印象。ポートランドでは、エコトラストが市内の建物をリノベーションして、ハブ的機能を備え、一般の人も楽しめる施設にしようとしていた。 また、計画にはなかったが、松山市内の常設直売所(JAえひめ中央経営)と共同で「愛太陽ファーマーズマーケット」を28年度内に3回開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内・海外の調査については、ほぼ計画どおりに実施できたが、研究会が開催できなかった。一方、社会実験的に愛媛県松山市の直売所(JA系統)と共同でファーマーズマーケットを立ち上げ、1年間で3回開催することができたのは、想定を超えた成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、以下の3点に力を入れて研究していきたいと考えている。 第一に、直売所と併設したファーマーズマーケットの実践を継続し、そのなかから一定の調査成果を得ることである。28年度は毎回消費者・出店者アンケートをとってきたが、29年度はそれをもとに、ステークホルダーに対してヒアリングを実施する。 第二に、対象を絞り込んだ海外調査を実施する。現時点では、ポートランドのファーマーズマーケットとローカルフードハブの調査をメーンに考えている。また、シアトルもユニークな動きがあることから、直接フードハブと直接関係しないが、調べてみたい。 第三に、当初の計画にもとづき、日米の研究者および実践者による異分野交流ディスカッションを実施することである。これがもっとも難しい。人選について、国をまたいで集まることが経済的日程的に可能かどうか、できるだけ早めに打診し、実践可能性を探る必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度は、海外調査を2度実施したが、いずれも別プロジェクトの調査を兼ねたため、渡航日が半額で済んだ。また、当初の計画には入れていなかった定量的調査も試みてみたく、次年度に予算を残すことを考えた。さらに、分担研究者である西山が転学(千葉大学から宇都宮大学へ)等の事情でまったく予算を使用しなかった。そのため全体として、次年度への繰越額が大きくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は海外調査を予定しているため、それに大幅に割くことになる。また、最終年度に予定している異分野の研究者との会議のための経費にも当てる。定量的調査も計画する予定である。
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