研究課題/領域番号 |
15K06365
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
木方 十根 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (50273280)
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研究分担者 |
鯵坂 徹 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (80709527)
小山 雄資 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (80529826)
増留 麻紀子 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (90723007)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 景観 / 立地 / 流域圏 / 麓 / GIS / 統計 |
研究実績の概要 |
本年度では、麓集落の立地と地域開発の特徴について統計的解析を行った。考察する研究対象地の地理的特性を正確に把握するために、GISを用い数値情報を処理した。分析方法は① GIS ソフト〈1〉により、国土地理院、国土交通省の提供データ5)を重ね合わせ地図を作成する。②流域圏における自然環境に関する定量的データを収集し、それらを多変量解析することで麓集落の立地について類型化する。③②の類型地域における新田開発を評価する。④集落内の範囲で景観の構成要素を把握する。以上である。本年度中に、その成果の一部として肝属川流域と万之瀬川流域における12 の麓集落を対象とした分析について成果報告を行った。明らかになった点を以下に示す。1)流域圏における自然環境は5 つに分類され、肝属川流域では、麓集落の半数が河川沿いに形成された三角州低地を示す得点の高い類型A に立地し、万之瀬川流域では麓集落の半数以上が台地を示す得点の高い類型E に立地する。2)麓集落と河川との関係性は、類型A、C に立地する麓集落は河川との関係が深く、その形状は河川に依拠していると考えられる。知覧麓を除く類型D、E に立地する麓集落は、河川との関係が薄いと考えられる。3)新田開発の傾向として、近世の大規模開発における灌漑施設の設置は、類型E で盛んであったことが伺える。流域ごとの開発傾向として、肝属川流域では、開発の行いやすい地域内に開発が収まり、万之瀬川流域では、開発困難な地域にまで多数の開発が行われたと推測される。4)高山麓と加世田麓では水に関わる景観を確認できた。類型A に分類される高山麓では集落内に水田が挟まれ、これは特徴的な景観であることが伺える。以上、統計的解析により、流域圏における麓集落の立地と地域開発の特徴が明らかになった。これにより、麓集落の水に関わる景観を特徴づけることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、研究の根幹となる分析方法がある程度確立した。次年度、この分析方法を敷衍し、目的である鹿児島県下の流域圏の比較考察を行う目途が立ったため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は実地調査と電算処理を中心に作業を進める。分析および調査の機器を整備し、効率的に作業を行う必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は調査対象の流域圏を限定して地理情報の統計処理の方法開発を主眼に行ったため。現地調査とより多くの対象の分析のための機器、人件費等が未執行となった。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度早々に謝金を利用してより多くの分析対象のデータ入力を行う。また調査機器・分析機器を整備したうえで現地調査を行う。
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