研究課題/領域番号 |
15K06368
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
角田 誠 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (10180035)
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研究分担者 |
秋山 哲一 東洋大学, 理工学部, 教授 (30111917)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リノベーション / 解体工事 / 予備費 / 建物事前診断 / 集合住宅 / リファイニング / 解体業者 |
研究実績の概要 |
リノベーション解体の業務内容の実態把握 まず、そもそも「リノベーション解体」という業務がどこまでの範囲を示すのかを、通常の解体業務内容を参照しながら把握した。RC分譲集合住宅3事例に対して、解体前の住宅状況(診断業務)の把握を行うとともに作業内容の詳細は施工性調査から、改善内容による確認作業の違い、さらには想定外の業務が発生する要因について明らかにした。元施工が確実に行われていないことが多く、これが不確定要素の発生に大きく影響を及ぼしていた。解体設計を行う際には、事前診断ではわからないものまでも想定に入れて、段階的な判断が可能となるような仕組み作りが必要である。さらに、特定部分をすべて解体するという一元的な考え方だけではなく、事前検討による「部分的」な解体という考え方を導入することにより、より柔軟な不確定要素に対する方策を講じることが可能となることを示した。 また、不確実な作業に関する工事費用の算出方法について、解体工事で発生した不確定要素の実態把握から、それに伴う補修工事のコスト管理方法を明らかにした。ひび割れ等の定量的な不確定要素は発生が想定しやすいもののあるが,工事プロジェクトによる個別性が高いこと、一方で定性的な内容は発生が特定しにくいことが明らかとなった。このような状況の中で、補修・改修工事の予備費を算定する際の特徴として、あらかじめ予備費より補修数量が増えることを想定し、補修工事仕様書内で高い基準で契約を結び、数量が多い場合には基準を下げることで対応していることが解った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3事例の詳細な実態調査から、おおむね基本的なリノベーション解体の工事内容は把握できたといえる。 また、解体設計者および工事監理者へのヒヤリングからも、コスト管理費おける注意点を明らかにできている。 しかしながら、リノベーション解体の担い手に関しては、本年度調査が既往の解体業者であったため、新たな要件まで見いだすことはできていない。
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今後の研究の推進方策 |
さらに、リノベーション解体工事の実態調査を継続する。その際に、解体規模の差違による工事内容の違いや、必須となる工事内容など、リノベーション解体工事の幅をより詳細に把握する。加えて、その担い手として誰がふさわしいか、後続の補修・改修工事も含めた形で解明する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、実態調査現場が都心部周辺で会ったため、旅費がさほどかからなかった。また、実態調査において現有機器類で調査が賄えた。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度も解体工事実地調査を複数箇所で行う。さらに、コスト管理分析においても複数の専門家にヒアリング調査を行う予定である。
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