本研究は,医療依存度の高い超重症児者の療育環境とその家族への支援環境を包括的支援環境と捉え,超重症児の発育に応じた段階的支援体制のあり方を実証的に示し,医療施設から地域生活環境へ連続した包括的支援システムと支援環境を構築・提案することを目的としている. 本年度は,医療依存度の高い重症障害児者の療育支援環境について,以下の検討を行った. (1)旧肢体不自由児施設から医療型障害児入所への移行したK施設を対象に,移行前後に実施した施設利用実態調査結果を基に,1)新旧施設の入所児属性の比較,2)新旧施設での使用場所を季節別,ユニット別,平日休日別の観点から比較,3)看護師・保育士の看護保育行為・場所の比較,4)旧施設から新施設に継続的に入所している入所児の生活の変化,5)居室種類別(個室・2床室・4床室)の入所児の生活行為,に関する分析を行った. (2)医療的なケアを必要とする超重症児者の療育支援を先駆的に行っている国内3施設を訪問し,施設管理者から施設運営ならびに施設計画に関するヒアリング調査を行った.また,施設内視察調査と施設ケアスタッフへのヒアリング調査を実施し,施設内諸室の使われ方や問題点等を把握した. (3)東京都内の放課後デイサービス事業実施施設の中から,2012年の児童福祉法改正以前から,障害児の通所支援に関して先駆的な実践を行っている2施設を対象とした施設利用実態調査を実施した. 研究期間全体を通じて,得られた研究成果を査読付き論文に投稿するとともに国内および国際学会で発表を行った.
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