2018年度は本研究の総括として、行き過ぎた観光地化(オーバーツーリズム)の問題を現代の都市計画論の潮流の中に位置づけ、その状況を批判的に考察するとともに、観光政策と都市政策の計画手法的統合の可能性を多角的に検証した。本研究事業の結論として、観光客の満足度を高め、リピートへの意欲を刺激する一方、市民生活のレベルも観光の存在によってむしろ向上するためには、適切な宿泊ベッド総数を地域主導で検討し、行政が将来的な戦略との兼ね合いのなかで後方支援し、全体として規制を図っていくことが不可欠であることを指摘した。研究成果を問う場として、2018年4月7日にバルセロナ市の観光戦略プラン担当局長(当時)のアルベルト・アリアス氏、京都市産業観光局長(当時)の上田誠氏、六原まちづくり委員会の菅谷幸弘氏を招き、一般公開の国際シンポジウム《持続可能な観光空間のプランニングと再生》を開催し、研究成果を問う場を設けた。当日は約80名の参加を得た。
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