研究課題/領域番号 |
15K06386
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
亀谷 義浩 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (30319610)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 視覚障害者 / 空間把握 / 探索行動 / 円形平面空間 |
研究実績の概要 |
視覚障害者にとって、円形平面空間上での歩行は、方向感覚を失いやすく、また、自分の位置を把握することも難しい。そこで、本研究では、円形平面空間における視覚障害者の空間把握特性や探索行動を明らかにするために視覚障害者を対象として空間把握実験を実施した。平成27年度は、円の内側に沿って被験者が歩き、一周したことや円の中心を把握するという実験であったのに対し、平成28年度は、円の外側に沿って歩き、一周したことがわかるかという実験であった。平成28年度の実験は、平成27年度の実験と同様に屋内に模擬実験空間を作製し、全盲の視覚障害者とアイマスクを着用した健常者を被験者として行った。模擬実験空間は、半径が2m~5mの異なる円形平面状の空間4種類とそれらの円の外側に柱状の障害物をおいた4種類を用意し、合計8種類であった。これらの模擬実験空間は、被験者の衝突時の安全性を考慮してダンボールパネルを用いて制作している。また、全盲の視覚障害者は18人、アイマスクを着用した健常者は24人、実験の補助や記録、安全を確保するためのスタッフは28人であった。実験は、予備調査を含め平成28年8月11日から20日の8日間に行った。 平成28年度の実験結果については現在分析中であるが、全盲の視覚障害者とアイマスクを着用した健常者との空間把握特性や探索行動特性の相違、円形の半径の違いによる相違、さらには平成27年度の結果との比較を通してそれらの相違等を明らかにする予定である。 実験結果は、日本建築学会や国際学会等での発表および関西大学における各種出版物において公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験調査は予定通り順調に進み終了した。 現在は結果の分析中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、平成28年度の実験調査の結果を分析中であるが、今後さらなる詳細分析とともに、平成27年度の結果との比較をする。また、平成29年度では、実験空間の円の半径を平成27、28年のものよりも大きくし、視覚障害者の曲線壁面の把握に関する実験を行いたいと考えている。さらに、点字ブロックなどを用いた、円形平面空間把握の改善策を模索したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験調査は順調に遂行したが、結果の分析に時間がかかっており、学会発表や論文投稿ができていないため、少し次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、平成29年度以降に、日本建築学会や国際学会であるEnvironmental Design Research Associationでの発表および学術雑誌への投稿のための費用として使用する予定である。また、29年度配分額の使用については、27年度、28年度の実験に関する補助的な実験を新たに行い使用する予定である。
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