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2016 年度 実施状況報告書

障害者の独立世帯形成における住宅条件

研究課題

研究課題/領域番号 15K06387
研究機関神戸学院大学

研究代表者

糟谷 佐紀  神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (90411876)

研究分担者 平山 洋介  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70212173)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード重度身体障害者 / 住宅 / 親同別居 / 受障年齢 / 住宅政策 / 独立世帯の形成
研究実績の概要

本研究の目的は、障害者の独立世帯形成における住宅条件を明らかにしようとするものである。今年度は、昨年度実施した重度身体障害者へのアンケート調査の分析を行い、居住実態を明らかにした。その上で、「どこで誰と生活するか」を重度身体障害者自身が選択できる住宅政策のあり方を検討した。調査の分析指標に「受障時年齢」を用いた。障害年金の受給開始年齢である20歳を成人と定義し、「成人前」と「成人後」のグループに分けて比較を行った。これらのグループには、障害原因、住宅所有形態、親との同別居、年金の種類、貯蓄額などに違いが見られた。
重度身体障害者は、親との同居/別居の選択を、親との関係、もしくは親の住宅のどちらを理由に行っているのか。調査結果では、「成人前」の8割、「成人後」の9割が、住宅の不備・不満を別居理由としていた。中でも、単身(成人前の約4割、成人後の約3割)の重度身体障害者の多くは民営借家に暮らしていた。民営借家の家賃は公営住宅と比較すると高く、バリアフリーかつ好立地という条件であればさらに高い。それでも民営借家を選択する理由は、公営住宅の総戸数が少なく(総住宅数の4%)、好条件の公営住宅の応募倍率は高く入居困難であるからである。親元からの独立を望む重度身体障害者にとって、好条件の公営住宅、もしくは好条件かつ低家賃の民営借家が必要である。
一方、親と同居する「成人前」の約半数は、親の住宅に不備・不満があると回答した。「成人前」受障の多くは病気原因であるため、障害年金と手当(月額約10万円程度)のみの収入である。この収入で、条件に合う住宅を得ることはかなり難しく、その後の生活費を考えるとさらに厳しい。
インタビュー調査では、受障直前から現在までの住宅履歴を聞き取った。受障年齢や親との同別居と住宅履歴との関連性を分析している。
現在、2つの調査結果に関する論文を執筆中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

重度身体障害者へインタビュー調査とアンケート調査の結果を分析し、論文(査読付き)を今年度中に投稿する予定であったが、分析等に時間がかかってしまいできなかった。現在、論文投稿の最終段階である。
また、今年度は知的障害者、精神障害者への調査を実施する予定であったが、先述の分析に時間がかかったため、調査協力者を探し協力依頼をするところまでしか進めなかった。

今後の研究の推進方策

知的障害者へのアンケート調査に協力してくれる団体と打ち合わせを進め、プレ調査(現在実施中)を経て、全国的なアンケート調査を行う予定である。
また、精神障害者へのアンケート調査も協力団体が見つかったので、夏ごろの実施を目指して、アンケートの設計を行う。
当初予定していた住宅供給サイド、公的支援機関に関する調査は、重度身体障害者へのアンケート調査結果や、今後行う知的障害者、精神障害者へのアンケート調査の結果を見てから、実施の有無を再検討したい。障害者が掲げる住宅条件の住宅を探すのに、どこが関連機関となるのか、その主体はどこかなどを見極めたうえで、調査を行いたい。

次年度使用額が生じた理由

知的障害者、精神障害者へのアンケート調査が実施できなかったことが、研究費の執行が進まなかった大きな理由である。

次年度使用額の使用計画

次年度は、知的障害者と精神障害者へのアンケート調査を、記述式、郵送にて行う予定をしている。また、障害者が所属する団体に対しては、知的障害者へのアンケート調査の代行(知的障害者への読み上げ、記入補助など)を依頼するため、その事務的作業等への手数料の支払いを予定している。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (12件) (うち謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 「どこで、誰と生活するか?」障害者が自ら選択できる社会に2016

    • 著者名/発表者名
      糟谷佐紀
    • 雑誌名

      住宅会議

      巻: 98 ページ: 53-56

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 住宅セーフティネットを考える2016

    • 著者名/発表者名
      平山洋介
    • 雑誌名

      住宅会議

      巻: 99 ページ: 6-8

  • [雑誌論文] 「三世代同居促進」の住宅政策をどう読むか2016

    • 著者名/発表者名
      平山洋介
    • 雑誌名

      世界

      巻: 880 ページ: 107-118

  • [雑誌論文] “賃貸世代”の住宅事情について2016

    • 著者名/発表者名
      平山洋介
    • 雑誌名

      都市問題

      巻: 107(9) ページ: 91-99

  • [雑誌論文] 持続可能な未来のために――社会問題としての住まい2016

    • 著者名/発表者名
      平山洋介
    • 雑誌名

      生活と自治

      巻: 570 ページ: 22-23

  • [雑誌論文] 三世代同居促進の住宅政策について2016

    • 著者名/発表者名
      平山洋介
    • 雑誌名

      住宅会議

      巻: 96 ページ: 50-54

  • [雑誌論文] 所得格差と相対的貧困の拡大における住居費負担の影響2016

    • 著者名/発表者名
      川田菜穂子・平山洋介
    • 雑誌名

      住総研研究 論文集

      巻: 42 ページ: 215-225

  • [雑誌論文] 阪神・淡路から東北へ――被災した人たちが、ふたたび住む2016

    • 著者名/発表者名
      平山洋介
    • 雑誌名

      日本衣服学会誌

      巻: 59(2) ページ: 49-52

  • [雑誌論文] 結婚遠のく住宅事情2016

    • 著者名/発表者名
      平山洋介
    • 雑誌名

      週刊東洋経済

      巻: 6658 ページ: 62-63

  • [雑誌論文] 若者の“次の段階”を支える住宅政策を2016

    • 著者名/発表者名
      平山洋介
    • 雑誌名

      月刊ガバナンス

      巻: 207 ページ: 29-31

  • [雑誌論文] 熊本地震――被災地に「住まいの再生」を2016

    • 著者名/発表者名
      平山洋介
    • 雑誌名

      世界

      巻: 884 ページ: 142-150

  • [雑誌論文] 阪神・淡路から東北へ――住宅復興の挑戦2016

    • 著者名/発表者名
      平山洋介
    • 雑誌名

      新建築

      巻: 91(13) ページ: 16-17

  • [学会発表] The Effects of Growing Student Loan Debt on Housing among Japan’s Younger Generation2016

    • 著者名/発表者名
      Kawata, N., Hirayama, Y. and Murakami, A.
    • 学会等名
      2016 Asia-Pacific Network for Housing Research Conference, Housing Issues in a New Epoch of Urbanization: Challenges and Opportunities,
    • 発表場所
      Guangzhou
    • 年月日
      2016-12-17 – 2016-12-18
    • 国際学会
  • [学会発表] 重度身体障害者の実態調査2016

    • 著者名/発表者名
      糟谷佐紀
    • 学会等名
      リハ工学カンファレンス
    • 発表場所
      高知県立ふくし交流プラザ
    • 年月日
      2016-08-26 – 2016-08-28
  • [図書] 深化する居住の危機――住宅白書 2014-20162016

    • 著者名/発表者名
      平山洋介
    • 総ページ数
      396
    • 出版者
      ドメス出版
  • [図書] ストック活用型団地再編への展望2016

    • 著者名/発表者名
      平山洋介
    • 総ページ数
      243
    • 出版者
      関西大学出版部

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公開日: 2018-01-16  

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