研究課題/領域番号 |
15K06390
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
亀屋 惠三子 豊田工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (70462140)
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研究分担者 |
青木 純一 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (10389869)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 結核療養所 / ブロックプラン / 建築計画 |
研究実績の概要 |
この研究は、明治から昭和30年までの旧結核療養所の確立期において日本に現存していた16床以上の結核病床を有する病院(以下、療養所)について考察することを目的とし、2018年度は90施設の事例分析よりプラン分析を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。 1) 図面の収集できた90施設の特徴としては、公立が多く、200床以下の小規模なもの、木造、平屋建てのパビリオン型であったことがわかった。その理由としては、結核患者数の増加に伴う地方都市への設置命令と、蔓延を防ぐために早急に建築する必要があり、病棟が独立した早い工期で安価にできる平屋建ての木造のパビリオン型が採用されたことが考えられた。 2)個形型を除く療養所に共通する点として、病室が連なる病棟と、事務室や職員が使用する室が設けられた管理棟、診察室や治療室などが設けられた診療棟などの棟が廊下で接続されており、その多くは片廊下型であることが確認された。 2) 療養所の平面計画としては、感染症に対応するため、各棟は用途ごとに廊下および病棟で明確に分離されていることが確認された。それはパビリオン型でより顕著にみられ、中には病棟入口に扉を設ける、動線を長くし明確に分離するなど、蔓延を防ぐ工夫が建築的に多く取り入れられていることが確認できた。 3)面積や配置に関しては型に関係なく片廊下型が主流であり、結核病床を有する療養所において食堂がないなどの設備に一部違いがみられていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度は地域分析を行ったが、2018年度は90施設の内30施設をCADにて復元することが可能となり、より詳細なブロックプランやプラン分析が進められた。引き続き、60施設のCAD化を完了させ、プラン分析を密に行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
全般的な分析を行ったのみであるため、全般的から言えることと、地域性(療養所に適した療養地や施設主体の公私立の別)によって、言えることが異なることがわかってきている。そこで2019年度は、結核療養所の地域性や設立主体の差を事例分析から明らかにし、条件や特性を加味した複数の療養モデルの提案を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
別件の研究テーマや校内の職務が多忙であり、予算を十分に執行することができなかった。2019年度は、学生にCAD化の作業を依頼し、60施設のCAD化を行うため謝金を積極的に執行したい。また、国立文書館などにも撮影し残した図面があることが分かったため、訪問し、撮影するなどして旅費も使用していく予定である。
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