建築家ル・コルビュジエを中心に、アイリーン・グレイとシャルロット・ペリアンとの比較考察によって、フランス近代住宅における「装備」の概念とその実践手法を明らかにした。椅子・机・棚の家具的要素に還元された「装備」の主題は、最終的に「壁」の問題へと収斂している。すなわち、ル・コルビュジエは新しい「壁」を探求し、ペリアンは「壁」を解体へと導く。一方のグレイには「壁」「家具」の境界が存在しない。そのような差異が生じるのは、壁の外部にある「自然」の捉え方と関わっており、本研究では近代主義建築における「空間の透明性」の多元的な様相を明らかにした。
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