本研究課題の柱の一つである「二重性のテーマ」、「交流のテーマ」、および、これらの統合テーマに基づき、以下の海外調査を実施した。すなわち、本研究の2本の柱の一方である「『中心』と『周縁』の交流のなかで涵養された建築・インテリア創造(交流のテーマ)」の一環たる研究課題「歴史主義の諸様式の日本を含む全世界への展開」には、工手学校関係者の貢献を明らかにすることも含まれる。その一環として、工手学校初代管理長を務めた渡辺洪基のオーストリア=ハンガリー君主国における活動について調査を実施した。あわせて、渡辺洪基も加わった岩倉遣欧使節団の足跡についての調査も実施した。 学会等における発表としては「交流のテーマ」として、古市公威が視察したイタリア・ローマの治水設備、橋梁等のインフラについて取り上 げた下記の口頭発表がある。1) 中島智章:「古市公威によるイタリアのインフラ視察記 その1 都市ローマのインフラ記述」、『日本建築学会学術講演梗概集』F-2建築歴史・意匠 2018、査読無、pp.863-864、2018年9月。著作等としては、中島智章他:『宗教改革期の芸術世界』、リトン、2018年、鈴木敏彦、中島智章他:『NICHE 05 イタリア建築探訪!』、丸善出版、2018年がある 。また、論文としては、中島智章:「戦争の間、鏡の間、平和の間の関係の多様性の中にみられるヴェルサイユ宮殿のグランド・デザインへの指向」、『日本建築学会計画系論文集』第83巻第749号、査読有、pp.1337-1346、2017年7月がある。
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