加賀藩に関係する御霊屋を対象として、遺構の調査を行って図面を作成し、関連資料の収集、分析と合せて、建築年代や建築経緯、建築の特徴について明らかにした。一般的には18世紀初頭を境に御霊屋の建設は下火になるとされているが、加賀藩ではその後も建設が続けられたことから、数多くの御霊屋が現在まで残った。その平面形式や規模は多様であるが、ごく初期を除いて位牌堂の形式をとった。主要な建物から回廊で結ばれ、内部で礼拝するための施設であり、外観意匠は乏しい。内部装飾は障壁画や天井画が中心で、旧天徳院御霊堂は彫刻が充実しているが、全体的に控えめな装飾にとどまっている。
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