研究課題/領域番号 |
15K06414
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山根 周 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (40285242)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 東南アジア / インド / 移民 / 都市形成 / ミャンマー / ヤンゴン |
研究実績の概要 |
本研究は、東南アジアの都市におけるインド系移民の居住地に着目し、都市、建築、住居に見られる空間的特質と形成プロセスを明らかにすることを目的とし、29年度はミャンマーのヤンゴン旧市街(ダウンタウン)における臨地調査を行った。 ヤンゴン旧市街は、19世紀半ばにイギリス軍の技術者アレクサンダー・フレイザーとモンゴメリーにより設計され、整然とした格子状の街路体系は建設当初から現在まで維持されている。文献によれば、建設時には市街地の中心を南北に通るスーレー・ロードより東側のブロックが主として西洋人の居住区、スーレー・ロードと西側のシュエダゴン・パゴダ・ロードの間のブロックが主としてインド人、シュエダゴン・パゴダ・ロードより西側のブロックが主として華人の居住区とされていた。 宗教施設分布などの調査により、かつての西洋人居住区はビルマ系住民の居住地へと変化したが、インド人、華人の居住区は現在もインド系、中国系住民の居住区として基本的な住み分けの構成は維持されていることが明らかになった。今年度重点的に調査を実施したインド系住民の居住区では、インドにおけるかつての出身地方別や各宗派別に個別の宗教施設が建設され、周辺には各宗教施設と関係の深いコミュニティが居住していることが明らかになり、コミュニティごとに細分化された住み分けの実態が確認できた。さらに独立以降ブロック内の路地などにビルマ人による小規模な仏教寺院(Dhamayon)が多数建設されていることも分かり、ビルマ系住民との混住が進みつつある現状も確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までに実施したマレーシア、シンガポールなどでの調査に加え、今年度はミャンマーでの臨地調査を実施することとしたため、事前資料収集作業に予想以上の時間がかかってしまったことと、今年度副学部長職に就くなど学内業務が増加したことなどにより、臨地調査が一度しか実施できず、十分なデータを集めるには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長し、ミャンマーのヤンゴン旧市街において、インド系住民の居住区に加え中国系住民の居住区も含めた追加の臨地調査を行い、民族やコミュニティによる住み分けの実態をより詳細に明らかにする。 マレーシア、シンガポール、ミャンマーでの臨地調査の結果、およびインドネシア、タイ、中国の諸都市に関する主として文献に基づく研究成果を総合し、東南アジアにおけるインド系移民の都市形成に関する特質について考察したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料収集作業等に時間を要し、2回~3回を予定していた海外での臨地調査が1回のみとなり、研究期間を1年延長することになったため、次年度使用額が生じた。次年度において1~2回の海外調査を実施する計画である。
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