本研究は、東南アジアの都市におけるインド系移民の居住地に着目し、その空間的特質や形成プロセスを、調査に基づき明らかにした。具体的には、インドとのつながりが特に強い旧英領植民地のマレーシアのクアラルンプール、マラッカ、イポー、ペナン、シンガポール、ミャンマーのヤンゴンなどを対象とした。それらの都市では、インドのタミル・ナードゥ地方出身者を中心としながら、他にもベンガル地方やグジャラート地方、パンジャーブ地方、シンド地方など、多様な地方からの移民が居住し、出身地、宗教、宗派別の宗教施設やコミュニティ施設を建設し、アイデンティティを保ちながらそれぞれの居住エリアを確保していることが明らかになった。
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