本研究は、歴史的な港湾都市の歴史的な景観を、測地尺分析とGISを使って復原的に研究するものである。具体的な対象は、広島県の尾道市と福山市の鞆の浦、大分県の杵築市と、山口県の下関市で、各都市の市街地の道路幅や街区の規模を実測して、歴史的に7尺から6尺まで小さくなっていった1間の寸法(これを測地尺と呼ぶ)のどれが整合するかで、造成時期を推定し、その上で街区や敷地の性格をGISソフトに入力して、変遷の要因を探った。成果の一部として、近代以降の敷地分割は、節税のために宅地以外の用途の土地を分筆したのが理由であり、景観の大きな変更を伴わなかったことが判明した。
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