研究課題/領域番号 |
15K06416
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
内田 伸 石川工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (40321426)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 新幹線開業 / 町家研究会 / 建具協会 / 実務者への補足資料 |
研究実績の概要 |
初年度の実施計画は、現状調査、資料比較、地域住民や金沢の町家研究会へのヒアリングを通じて、重要伝統的建造物群保存地区内において、実務者が参照することが望ましい資料の内容を検証することであった。しかし研究対象である金沢東山ひがしは、新幹線開業1年目ということもあり、休日祝祭日にかぎらず平日を含め、観光客が多く滞在していたため、日中の調査や実際の生活者へのヒアリングは、スケジューリングを含め困難であった。 また町家研究会は、ちょうど活動10年を取りまとめた一般向け書籍を2015年(平成27年10月出版/「金澤町家 魅力と活用法」)出版予定だったため、その書籍にまとまっている知見を理解した上で、次年度ヒアリングを行なう予定に変更した。その他、タイミングを同じく、対象地域に隣接する町家を改修する事業に取り組みはじめた建築家の存在を知り合うことができた。こちらも次年度春に完成という事で、完成後に再度伺う予定とした。この他、地元建具協会へもアポイントを試みたが、協会組織として集まる機会は少なく、機会を改めることとなった。 金沢市役所職員に協力いただき、これまでの調査経験を踏まえた懸案事項について意見を伺った。現状の認識については、多少の相違はあったものの、実務者への補足資料の必要性や資料作成を考えたこともあるという事が判明した。具体的資料の内容や方針について、有効な知見を見すため、打ち合わせ、意見交換を重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新幹線開業に伴う観光客の増加は、予想を遥かに超えるものであった。対象地区では、新幹線開業のタイミングに合わせての取り組みはあったが、開業後の対象地区内における建物整備は落ち着いている。近年開業した店舗店主にヒアリングを相談したが、あまりにも忙しいため、一時的に休業しているケースもあり、現状調査、ヒアリングにもスケジュール調整が困難な状態があった。また既に市役所の方でも、実務者向け補足資料について検討する事が話題に上がっていたことも判明したため、方針をある程度調整し、より実用性を受け入れられる内容をめざし準備を重視したい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度調べた調査状況をふまえ、調査対象者へのヒアリングを実施する。関連する諸団体は、東山ひがしだけを対象とする組織ではなく、広く金澤の町家、伝統的建造物の保全と活用を念頭に活動している。本研究では、あくまでも東山ひがしに限定した上で、範囲を限定しつつも有効な資料内容を、できる限り視覚的に整理する事、およびある時期の現状を記録し、後の保存状態調査にも役立てられる資料性を重視してすすめたい。現地の調査は、日中の時間帯を外し、早朝や夕刻以降でも検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査対象地区が週末のみならず大変混雑しており、調査可能時間帯および調査スケジュール調整が困難となり、現地の調査は実行できなかったため人件費が発生せず、現状調査なしでの出張打ち合わせを次年度へ変更した。また使用中であった所有プリンターが故障したため、代替幾を購入し、所属機関所有の大型プリンターの消耗品購入などにより利用することで対応したため。
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次年度使用額の使用計画 |
調査に伴う人件費ついては、調査可能時間帯が制限されることを踏まえ短期間で実施のするため、調査人員を増やして対応する計画である。また調査に際して必要となる計測器具は、複数のグループで同時に実施するため追加購入を検討する。
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