研究課題/領域番号 |
15K06439
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
橋本 忠範 三重大学, 工学研究科, 准教授 (10271016)
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研究分担者 |
那須 弘行 三重大学, 工学研究科, 准教授 (20189179)
石原 篤 三重大学, 工学研究科, 教授 (60212908)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | pH応答電極 / セルフクリーニング機能 / メンテナンスフリー / 撥水性 / ガラス電極 / ゾル-ゲルコーティング / ステンレス電極 / ディスポーザブル |
研究実績の概要 |
現在pH電極に用いられているLi伝導型のガラス電極には,汚れの蓄積により容易にpH応答が低下するという致命的な問題がある。 これまでに,この問題を解決するために,既存の概念にとらわれない新規のセルフクリーニング機能を有するpHガラス電極を開発してきた(H24-H26年度・基盤C(一般)・24560823)。一つは申請者が開発した光触媒機能を有するTiO2-P2O5ガラスの酸化→還元→酸化というアニールプロセスによる自己洗浄型のpH応答ガラスの開発である。もう一つは,申請者が開発した撥水性ガラスに電子伝導性を付与したFe2O3-Bi2O3-B2O3ガラスによる自己防汚型のpH応答ガラスの開発である。 今回,既存のpH応答ガラス(リチウムシリケート)電極では実現不可能な,清浄な状態を保つことでpH応答性能を保証する二種類のメンテナンスフリーのpH電極を開発した。 防汚特性(撥水性)に基づく自己防汚型のガラス電極の開発に関しては,既存のFe2O3-Bi2O3-B2O3ガラスより撥水性に優れたFe2O3-Bi2O3-GeO2ガラスの開発に成功した(Sens. Actuators B: Chem., 2018)。FeBiGeを作用極,FeBiを比較電極とする複合ガラス電極は,被験液を内部液(KCl)で汚染しないというメリットがある。また,遷移金属酸化物をゾル-ゲルコーティングしたステンレス電極は,高いpH感度と高速pH応答を示した。加工性に優れるので,ディスポーザブルのpH電極へ応用が期待できる。いずれも先端材料分野やバイオ・創薬関係での新しいツールになり得る。 pH深さ方向測定をするために,SUS細管を用いたプロトタイプのpH電極を作製した。市販のpH電極と比較して,深さ方向に急峻なpHの変化のある液体のpHを測定できることを明らかにした。
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