研究課題/領域番号 |
15K06446
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
關 成之 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (50449378)
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研究分担者 |
末永 貴俊 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (90380998)
佐藤 友章 仙台高等専門学校, 総合工学科, 教授 (70261584)
内田 孝幸 東京工芸大学, 工学部, 教授 (80203537)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ナノミスト堆積法 / ナノミスト成膜装置 / 組成制御 / 溶液調製時混合方式 / 透明導電膜 / 傾斜機能構造 / 酸化インジウム / スズ添加 |
研究実績の概要 |
本研究は、従来のナノミスト堆積法に独自の改良を加えて金属元素の組成を制御可能とし、傾斜機能構造を有する透明導電膜の作製技術を確立してスマートウィンドウや有機EL素子に応用可能な透明電極を作製することを目的として遂行中である。 平成28年度の研究では、(1)溶液調製時混合方式による薄膜の作製および特性評価、(2)新規ナノミスト成膜装置(ミスト放出時混合方式)の作製および組成制御の確立について実施する計画を掲げた。 先ず、(1)の溶液調製時混合方式として1 chのナノミスト成膜装置を用い、ノズルの改良およびノズル-基板間距離および成膜基板温度の最適化を施し、堆積レートが目標の25 nm/minを超えて30 nm/minを実現した。ついで、スズ添加濃度依存性を検討し、8 at.% Sn時で可視光平均透過率80%以上かつ3.05×10-4 Ω・cmまで低抵抗化した。そして、酸化スズ(SnO2)薄膜の作製を試み、300~350℃ではアモルファス状態、350~375℃では多結晶状態の薄膜が得られることが明らかとなった。後者の多結晶SnO2薄膜は、可視光平均透過率が77.8%で、体積抵抗率が5.9×10-3 Ω・cmを有していた。このSnO2薄膜とスプレー法で表面修飾したSnO2薄膜を透明電極として用い、3状態に可逆変化するエレクトロクロミック(EC)素子の作製に成功した。 また、(2)のミスト放出時混合方式として新規ナノミスト成膜装置(2 ch)を作製し、それぞれのチャネルで酸化インジウム(IO)薄膜およびSnO2薄膜を得る事に成功した。現在、2 ch同時使用の検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先ず、1 chのナノミスト成膜装置(溶液調製時混合方式)によりITO薄膜を作製し、30 nm/minの高速成膜、80%以上の可視光透過率、3.05×10-4 Ω・cmの低抵抗率化を実現した。 ついで、2 chのナノミスト成膜装置を作製し、それぞれのチャネルでIO薄膜およびSnO2薄膜を得る事に成功したが、ミスト放出時混合方式については未実施である。 以上より、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究では、2 chのナノミスト成膜装置(ミスト放出時混合方式)に着手し、ITO薄膜の作製および組成制御を確立する。ついで、3 chのナノミスト成膜装置を作製し、バナジウム添加ITO(ITVO)薄膜の作製および評価を行い、組成制御による傾斜機能構造の実現を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた「2 chのナノミスト成膜装置」が想定よりも安価に作製できたものの、研究成果を学会で発表するには至らず、結果として予算よりも少ない使用額となりました。
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次年度使用額の使用計画 |
しかし、3 chのナノミスト成膜装置が完成しておらず、国内学会および国際会議にて発表する予定があるので、「次年度使用額」を充てていく予定です。
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