研究課題/領域番号 |
15K06448
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
解 栄軍 国立研究開発法人物質・材料研究機構, サイアロングループ, 主席研究員 (00370297)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 発光材料 / 窒化物 / 透光性 |
研究実績の概要 |
今年度には以下の通り研究実績を持っております。 1.CaAlSiN3発光セラミックスの焼結。焼成添加剤としてSi3N4とSiO2を用いて、コアシェル構造を有する赤色蛍光体粒子をαサイアロンマトリックスに均一に埋め込んだ複合微細構造を有する半透明なCaAlSiN3:Eu2+セラミックスを合成した。これは450nm励起時に外部量子効率が60%(粉末蛍光体の87%)であり、0.75Wmm-2の青色レーザ光束密度で照射された場合に10.6lmW-1の発光効率を達成した。 2.CaAlSiN3;Eu-ガラス複合発光材料(PiG)の作製および発光特性。ZnO-B2O3-BaO-Al2O3ガラスマトリックス中にCaAlSiN3:Eu2+蛍光体を分散させて赤色PiG発光材料を作製した。大気中650℃である程度可視光透過性を有する緻密なCaAlSiN3:Eu2+ PiG発光材料を達成できた。5wt%のCaAlSiN3:Eu2+蛍光体を含むPiGサンプルは、適切な透過率および発光効率をあり、高出力青色レーザへの応用を考えている。 3.YAG-Al2O3複合発光セラミックスの焼結。熱伝導率の高いAl2O3マトリックスに黄色発光YAG:Ce粒子を埋め込んだユニークな複合構造のAl2O3-YAG:Ce蛍光体セラミックスを焼結した。大きなYAG:Ce粒子(20μm)は良好な結晶性を示し、76%の高い外部量子効率を達成した。微細なAl2O3粒子(0.5ー2μm)は800nmで55%の優れたインライン透過率に寄与した。この発光セラミックは、18.5Wm-1K-1の高い熱伝導率と優れた熱安定性の向上を示した。45W青色レーザで照射すると、色温度5200Kで2000ルーメンの高い光束を実現し、高輝度固体レーザ照明に対する適合性を実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下に示す。 1.演色性を高めることを目指するため、ベータサイアロン:Eu2+またはYAG:Ce3+とCaAlSiN3:Eu2+蛍光体を組み合わせることにより、多色発光材料(PiGまたは薄膜)を作製する。それて、蛍光体比、処理条件および充填材料の微細構造および発光特性への影響を調べる。 2.スパークプラズマ焼結法を利用して緻密なLa3Si6N11:Ce3+、Ca-a-Sialon:Eu2+または(Sr、Ba)2Si5N8:Eu2+発光セラミックスを作製し、レーザー照明への応用を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算を使って海外でいくつかの会議に出席することを計画しましたが、主催者は旅費と宿泊費をカバーした。
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次年度使用額の使用計画 |
7月にポーランドで開催するPhosphor Safari2017に出席・参加する予定がある。
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