研究課題/領域番号 |
15K06453
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
福本 倫久 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20343064)
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研究分担者 |
金児 紘征 秋田大学, その他部局等, 名誉教授 (20006688)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 水素センサー / 酸素センサー / 過熱器管 / Fe-Cr合金 / 水蒸気酸化 |
研究実績の概要 |
蒸気温度を上昇させて熱効率を上昇させることが今まで以上に重要な課題となってきている.蒸気温度の上昇は,過熱器管の使用環境を苛酷にすることから,高温水蒸気含有雰囲気での過熱器管材料の腐食挙動を解明する必要がある.これまでの水蒸気酸化挙動は,酸化増量曲線により評価しているものが多かったが,本研究では新たな手法として酸素センサーおよび水素センサーを用いてFe-Cr合金の水蒸気腐食過程を追跡し,酸化増量曲線では解明できなかった微小変化について検討した.
試料にはアーク溶解法により作製したFe,Fe-15mass%CrおよびFe-30mass%Cr合金を用いた.雰囲気ガスには,アルゴンおよびアルゴン-酸素を50℃に保持した水を通して用いた.酸化実験は,1173Kで行った.ガス排出口に酸素センサーと水素センサーを取り付けた.酸素センサーには8mol%イットリア安定化ジルコニア管,水素センサーにはCaZr0.9In0.1O3管をこれらの内外に白金電極を塗布して用い,起電力測定から酸素分圧,水素分圧を求めた.
Arに水蒸気を添加した雰囲気中,温度を1173Kで酸化させたときの水素分圧の変化と水素分圧から求めた酸化速度の結果より,Fe-30mass%Crの酸化速度がもっとも小さいものとなった.FeおよびFe-30mass%Crでは酸化時間の経過とともに,酸化速度は一定の値を示したが,Fe-15mass%Crでは8 ksを過ぎると急激な酸化速度の増加が観察された.Ar-O2に水蒸気を添加した雰囲気中では水素発生を水素センサーでまた酸素消費を酸素センサーで解析し,水蒸気,酸素混合雰囲気下での酸化挙動の検討も合わせて行った.なお,酸化速度を積算して得られる全酸化増量は実験後の重量測定で得られた値とよく一致した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Arに水蒸気を添加した雰囲気中,温度を1173Kで酸化させたときの水素分圧の変化より,全ての試料において,酸化初期に水素分圧が上昇する.Feにおいては,酸化時間の経過とともに水素分圧の変化は観察されなかった.しかし,Fe-15mass%Crでは酸化時間の経過により水素分圧がわずかに上昇した.しかし,酸化時間の経過とともに,Fe-30mass%Crでは水素分圧が低下した.水素分圧から酸化速度を求めた.これより,Fe-30mass%Crの酸化速度がもっとも小さいものとなった.FeおよびFe-30mass%Crでは酸化時間の経過とともに,酸化速度は一定の値を示すが,Fe-15mass%Crでは8 ksを過ぎると急激な酸化速度の増加が観察された.Ar-O2に水蒸気を添加した雰囲気中では水素発生を水素センサーでまた酸素消費を酸素センサーで解析し,水蒸気,酸素混合雰囲気下での酸化挙動の検討も合わせて行った.なお,酸化速度を積算して得られる全酸化増量は実験後の重量測定で得られた値とよく一致した.これより,本研究が予定通り以上に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
(1)Ar-H2O雰囲気中での耐熱材料の腐食実験(福本) 前年度に行なった実験を踏まえ,さらに実際に過熱器管に用いられてる耐熱材料(Fe-20Cr-30Ni)を用いて,より現実に即した実験を行なう. (2)O2-H2O,CO-H2O雰囲気中での腐食実験(福本) 前年度に行なった実験をより発展させる.すなわち,前年度はAr-H2O中での水蒸気酸化実験を行い水蒸気の効果を調べたが,O2-H2O,CO-H2O雰囲気中で行うことにより酸素ポテンシャルの寄与の度合いを調べる.この場合は,酸素ポンプ・センサで還元ガスの全濃度,水素センサで水素ガス濃度が分析できるから,水素濃度と他の還元ガス濃度を分離して解析できる利点がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
装置作製において自作のものを使用した為、低予算で作製することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、装置を複雑化するため、装置の作製に使用する予定。
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