研究課題/領域番号 |
15K06455
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
井上 雅博 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (60291449)
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研究分担者 |
牟田 浩明 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (60362670)
林 大和 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60396455)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 導電性接着剤 / 銅フィラー / 電気的信頼性 / 環境試験 |
研究実績の概要 |
最終年度では,大気キュア可能な銅系導電性接着剤(フェノール系およびエポキシ系)の湿熱環境および高温環境下での電気抵抗率変化の挙動を調べるとともに,その挙動のメカニズムを中心に検討を行った. 高級脂肪酸の例としてオレイン酸を銅フィラーの表面処理剤として使用した試料を85℃/85%RH環境中に曝露したところ,300~500 h程度の曝露時間で電気抵抗率の急激な上昇が見られた.試料の微細組織評価の結果,この電気抵抗率の上昇は試料内部の銅フィラーの酸化に起因するものであることがわかった.これに対して,85℃(1%RH以下)環境に同じ試料を曝露したところ,1000 h後においてもほとんど電気抵抗率の変動は見られなかった.したがって,銅フィラーの酸化は水の存在によって促進されたことになるが,熱力学的考察から水が直接的に銅と反応したのではなく,水和酸素により銅フィラーの酸化が進行していることが示唆された. 一方,アミンを銅フィラーの表面処理剤として添加した試料においては,湿熱環境での抵抗上昇挙動がアミンの分子構造の影響を受けて変化することがわかった.塩基性の高い脂肪族アミンを用いた場合には,85℃/85%RH環境中に1000 h曝露しても電気抵抗率はほとんど変化しなかった.レゾールフェノールバインダを用いた試料の電気抵抗率は約50 μΩcmの非常に低い値を維持していた.湿熱環境曝露中の挙動の違いは試料中で形成される銅-アミン錯体の安定性に起因すると考えられる. さらに,150℃以上の高温環境への曝露試験も実施した.150℃曝露の結果は,すべての試料において電気抵抗率の上昇が見られなかった.250℃以上の高温に曝露した場合,テトラエチレンペンタミンで処理した試料においては200℃で大気キュアした試料の電気抵抗率は250℃以上の高温に曝露しても顕著に増加することはなかった.
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