研究課題/領域番号 |
15K06459
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田口 佳成 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (30293202)
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研究分担者 |
田中 眞人 新潟大学, 自然科学系, 名誉教授 (40018495)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 機能性複合材料 / 多孔性微粒子 / ミセル |
研究実績の概要 |
多孔性微粒子の孔径分布制御およびその最適操作プロセス設計のためには,多孔性微粒子の調製過程で発現する界面の特性と動的に変化する素材の物性が,孔形成に及ぼす影響を解析することが不可欠である。そこで平成27年度は異なる界面特性を持つ界面間の相互作用の界面科学的検討を行なった。主に界面活性剤の種類,組み合わせおよびその濃度が多孔性微粒子の構造および孔径に及ぼす影響と,それらの結果から孔径分布制御の可能性について検討した。 油相に添加する界面活性剤種および濃度を段階的に変えて調製した多孔性微粒子は,いずれも形状は真球状であったが,表面には微細な凹凸と孔が形成されていることがわかった。表面の微細な凹凸は微小な粒子が集合して形成していることがわかった。この微粒子群のサイズは界面活性剤の濃度,種類により異なっていた。さらに,多孔性微粒子表面に形成されていた微細な孔は,表面に存在している微粒子群の間隙として形成されており,孔径は界面活性剤種および濃度により大きく異なっていた。これは,油相内でミセルを形成している界面活性剤のHLBの違いと界面活性剤の構造,ミセルの集合状態および数により,外水相からの水の取り込み量と分散安定性が異なり,孔形成に影響を及ぼしたためであると考えられる。 また,孔形成を多角的に検討するために,分散相に重合性モノマーと非重合性溶媒を採用し,重合にともなう相分離による孔形成についても検討した。非重合性溶媒の鎖長と極性基の種類と有無を変化させた結果,溶媒種により微粒子の構造は異なり,マトリックスタイプの多孔性微粒子から単核の中空微粒子まで変化した。多孔微粒子の構造は孔内を充填する溶媒種と壁材種にも大きく依存することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では,平成27年度は「異なる界面特性を持つ界面間の相互作用の界面科学的検討」を実施する予定であった。そこで,異なる界面活性剤種,およびそれらの混合系における添加比率を段階的に変化させ,形成されるミセルと,その結果調製される多孔性微粒子の孔径,構造等に及ぼす影響を検討した。一連の結果から,液滴間の合一・分裂挙動に及ぼす影響を明らかにした。以上のことから,本研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
重合をともなう撹拌下では滴間の合一過程は非定常であり,タイムラグによる予期しない界面間の合一などが起こる。そこで,このような誤差のない界面間の相互作用の観察を行うために,壁材としてUV 樹脂を利用した検討も行う。これにより,分散系にUV ランプを照射することで瞬時に硬化させることが可能となり,界面の挙動および孔形成を正確に評価でき,研究をより効果的に推進できるもの考える。また,素材のレオロジー的特性の影響を検討し素材の物性変化や界面活性剤の組み合わせが界面活性剤の吸着状態に及ぼす影響を明らかにする。
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