研究課題/領域番号 |
15K06470
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
平栗 健二 東京電機大学, 工学部, 教授 (60225505)
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研究分担者 |
馬目 佳信 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30219539)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | DLCコーティング / Zn徐放 / 骨芽細胞 / 生体親和性 / 元素ドーピング |
研究実績の概要 |
ダイヤモンド状炭素(DLC)膜は生体適合性や血液適合性、生体内での安定性等のバイオマテリアルとしての特性を有する。そのため医療デバイスの表面処理技術として大きく期待されており、DLC膜コーティングによる良好な細胞親和性や抗菌性の成果が報告されている。また、高齢化の進行による骨折治療での骨組織医療に注目が集まっている。骨の再生には骨芽細胞の働きが重要であり、亜鉛(Zn)を与えることでその働きが活性化し、骨組織の再生が促進されることが近年明らかになってきた。 しかし、生体埋め込み材料から患部へ直接Znを溶出させ、骨の再生を促進させるようなバイオマテリアルは未だ開発されていない。そこで、本研究では積極的に自己組織の回復促進機能や抗菌性を有するバイオマテリアルの開発を目的とし、骨形成及び石灰化、抗菌効果で知られているZnをDLCにドープしたZn-DLCを作製した。基礎実験として行った異なるZn溶出量におけるマウス頭蓋冠由来の骨芽細胞(3T3-E1)に対する毒性試験(MTT assay)の結果を得た。MTT assayの結果からは適正なZn量であれば、毒性が無く、細胞活性に効果があることが分かった。特に、今年度の実験結果からは、過剰にZnを与えると細胞の活性度が大きく低下する結果も取得できた。そこで、骨芽細胞に毒性を与えず、細胞を活性化っするZn量を把握することが出来た。次年度へ向けた有効な成果として活用できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダイヤモンド状炭素(DLC)膜は生体適合性や血液適合性、生体内での安定性等のバイオマテリアルとしての特性を有する。そのため医療デバイスの表面処理技術として大きく期待されており、DLC膜コーティングによる良好な細胞親和性や抗菌性の成果が報告されている。また、高齢化の進行による骨折治療での骨組織医療に注目が集まっている。骨の再生には骨芽細胞の働きが重要であり、亜鉛(Zn)を与えることでその働きが活性化し、骨組織の再生が促進されることが近年明らかになってきた。 しかし、生体埋め込み材料から患部へ直接Znを溶出させ、骨の再生を促進させるようなバイオマテリアルは未だ開発されていない。そこで、本研究では積極的に自己組織の回復促進機能や抗菌性を有するバイオマテリアルの開発を目的とし、骨形成及び石灰化、抗菌効果で知られているZnをDLCにドープしたZn-DLCを作製した。本発表では、基礎実験として行った異なるZn溶出量におけるマウス頭蓋冠由来の骨芽細胞(3T3-E1)に対する毒性試験(MTT assay)の結果を報告した(研究発表参照)。今回の実験により、骨芽細胞に毒性を与えないZn量を把握することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に行う実験は、これまで得られているDLCを介してのZn溶出効果の知見(0.1ppb程度)を参考にした試料を生体にインプラントした後、経過時間に対して元素溶出による治癒効果を評価する。特にDLC試料の深さ方向でのドーピング量制御を実施する。これは、組成評価結果を基にターゲット上に設置したシャッターでドーピング元素源を部分的に覆うことで実現する。作製試料の溶出量の結果から、深さ方向の元素ドープ量を制御した試料を用いて実践的な生体適合性評価実験を行い、本計画を遂行する予定である。 また、複数のコーティング条件により形成したDLCについて、模擬生体内としてPBS、血液中、生体組織内などの環境を構築し、水溶性塩化物や、酸・アルカリ溶液による耐腐食性試験を行ない、バイオマテリアルとしてのDLCの評価を行なう。また、機械的強度試験についても同様な評価を行ない、各条件により作製されたDLCについてインプラント材料としての特性を検討する。耐腐食性・耐摩耗性試験結果とDLCの物性評価の相関性を明らかにすることで、バイオマテリアルとしての定量評価を行なう。 金属元素ドープしたDLCについて、元素溶出状態を検証した結果を用いて、骨芽細胞に対する評価を行う。評価にあたっては、骨代謝関連細胞の機能評価系として確立された方法を用いて行う。骨芽細胞の酵素マーカーとしては、アルカリホスファーゼを利用し、骨芽細胞や骨髄細胞から骨形成へ分化した細胞の染色を媒体として観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に繰り越した額は562円と少額であり、当初の予定に沿って計画通り実行できていると考えている。ICP-MSによる徐放量に関する質量分析は、予定していた学内の装置で不具合が発生したため、委託分析を行った。このため、その他の項目が増額になった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に繰り越して消耗品等に充当して使用する予定である。
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