研究課題/領域番号 |
15K06474
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
加藤 且也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 無機機能材料研究部門, 副研究部門長 (70356781)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 機能性複合材料 / メソポーラスシリカ / セラミックス粒子 / シート状 / 界面活性剤 / 吸着 / 無機材料-バイオ複合体 / バイオセンサー |
研究実績の概要 |
一般的に MPS 粒子は、作製条件を変化させることで、その粒子構造を球型や棒型に変化することが知られている。 しかし、シート型MPS を安定的に多量作製する方法は、いまだ確立していない。そこで、27年度は、シート型 MPS (細孔サイズを 2~10 nm の範囲で持つ) の簡便な多量作製方法を確立する 。最初に、MPS の粒子構造を決定する要因である有機テンプレートの構造を最適化する。これまでの我々の予備実験で、アミノ酸と脂肪酸を組みあわせた界面活性物質 (C16-L-Ala) が、MPS の構造をシ-ト化にする要因であることを明らかにしている。そこで、シート型 MPS の横や厚さのサイズをコントロールして作製するために、この有機テンプレート構造を再度検討・合成して、有機テンプレートの構造がシート構造に及ぼす影響について解明した。具体的には、C16-L-Alaの添加量や、反応温度や時間などの作製プロセスを詳細に検討することで、シート型MPS の簡便な作製方法を確立した。さらにシート型MPSの作成方法の簡便化を目指して、有機テンプレートとして、CTACおよびP123の2種類の汎用化合物のみを用いた合成方法を開発した。作製した シート型MPS の構造解析については以下の分析機器を利用した。 粒子形態を確認するために電子顕微鏡 (SEMやTEM) 観察を行い、粒子の持つ比表面積や細孔サイズは、ガス吸着法 (BET法) により測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、シート型 MPS の作製とその構造解析を研究目的としており、界面活性剤を有機テンプレートとして使用した場合のシート構造の形成機構について詳細に解析した。以上から研究は、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、27年度に作製したシート型MPS の表面改質を行い、高効率な金属イオン吸着剤を作製する。シート型MPS の金属イオンとの吸着親和性が増大させるため、各種シランカップリング剤を用いてMSP 表面改質を行い、銅や亜鉛イオンなどの金属イオンの吸着能が最大となる表面構造を決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の当初計画では、シリカ等無機化合物 温度調節付き合成器(1台x 750 千円)を購入予定としていたが、まずは、界面活性剤の合成およびシート状MPS作成実験および、TEMやSEMによる形態観察にほとんどの時間を費やした。そのため、合成条件の微調節が可能となる温度調節付き合成器は使用せず、混合する界面活性剤とシリカ源、溶媒検討を実施するにとどまった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には、当初予定していた合成器の購入を計画している。
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