研究実績の概要 |
RNAは、タンパク質に翻訳されるmessenger RNA (mRNA) やアミノ酸を運搬するtransfer RNA (tRNA)、リボソームを形成するribosomal RNA (rRNA)など様々な種類が存在し、生体内で多様な役割を果たしている。そのため、RNAを用いた研究は盛んに行われているが、研究に用いる際には組織からのRNA抽出は必須のプロセスである。今回、我々は粒子サイズが50 nm程度のアミノ化メソポーラスシリカ(MPS)へのRNAとDNAの吸着量に差が生じることを発見した。MPS粒子のサイズと含有するアミノ基の量を変化させ、RNA及びDNAの吸着に与える影響についても検討した。 粒子サイズ50 nm程度のMPSをMCM-41c、150 nmと300 nmの粒子サイズを有するMPSはそれぞれMCM-41s 0.15、MCM-41s 0.3とした。合成時のTEOS/APTESモル比を25/1, 12/1, 11/2と調節したMCM-41cを用意した。また、Stoberは細孔を持たない粒子サイズが50 nm程度のシリカである。合成したシリカは全て球状であり、StoberとMCM-41cサンプルは粒子の凝集体であった。粒子のサイズが150 nmや300 nmになるとRNA吸着量が大きく低下し、一方、DNA吸着量は同程度であった。含有するアミノ基量を減少させる (TEOS/APTES比を12/1から25/1) とDNA及びRNA吸着量が共に減少し、RNAの吸着量はTEOS/APTES比が12/1のときに最大となった。また、高いRNA吸着量を持ち、RNAとDNAの吸着量の差を示したサンプルはMCM-41c 12/1であり、RNAの吸着量は272.6 g/mg、RNA/DNA吸着量比は11.1であった。
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