本研究では,高い強度,優れた耐応力緩和特性,適切な導電性を持つ時効硬化型Cu-Ni-Sn合金の作製を目的とした.市販合金と組成がほぼ同じCu-9%Ni-6%Sn,Cu-15%Ni-8%Sn,Cu-21%Ni-5.5%Sn合金,並びに今回提案するCu-9%Ni-9%Sn合金に400℃でピーク時効後圧延し,応力緩和率を向上のため400℃で焼鈍を行った.この加工熱処理は筆者独自のものである.いずれの合金も,市販合金に比べ引張強さは100~200MPaも高く,導電性は同程度であるが,耐応力緩和特性は劣る.Cu-9%Ni-9%Sn合金が強度,耐応力緩和特性,導電性の面で最もバランスが取れている.
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