| 研究課題/領域番号 |
15K06485
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| 研究機関 | 大阪大学 |
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研究代表者 |
末廣 さやか (宮部) 大阪大学, 工学研究科, 助教 (50584132)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | 金属バイオマテリアル / 生体用医療材料 / チタン合金 / アルカリ加熱処理 / 骨親和性 / 表面処理 / ミクロ構造 / 為害元素低減 |
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| 研究実績の概要 |
本研究課題ではTi6Al4V合金に対し、アルカリ加熱処理の際の諸条件を検討することによって皮膜の骨親和性向上、為害元素低減を目的としている。初年度の平成27年度にて、方形波パルス電位を用いたアルカリ加熱処理によって、通常の自然浸漬によって形成されるチタン酸ナトリウム皮膜よりも皮膜の網目構造が緻密で同程度の厚みの皮膜の作製に成功した。2年目の平成28年度では、EPMA分析により、方形波パルス電位を用いたアルカリ加熱処理によって作製した緻密な皮膜には、母材金属であるTi6Al4V合金に含有される為害元素であるVとAlが低減されており、特にVが多く含有されていたβ相においてVの低減を確認した。また、SBF溶液（simulated body fluid; 模擬体液）浸漬試験によって形成した皮膜のHAp(hydroxyapatite; ハイドロキシアパタイト)形成能を評価したところ、緻密な網目構造の皮膜を有する方形波パルス電位を用いたアルカリ加熱処理試料は、通常の自然浸漬によるアルカリ加熱試料よりも多くの析出物が認められた。この析出物はEDS分析によりCa、Pを含有すること、XRD測定によりHApであることを確認した。このことは、方形波パルス電位を用いたアルカリ加熱処理によって、通常の自然浸漬によるアルカリ加熱処理と比較し、HAp形成能が向上した皮膜の作製成功を意味する。つまり、初年度に決定した最適条件で作製した皮膜の評価を行うことができ、本研究課題で目的としていたTi6Al4V合金に対し、皮膜の骨親和性向上、為害元素低減を、アルカリ加熱処理の際の電気化学条件の検討によって達成できた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の平成28年度にて、方形波パルス電位を用いたアルカリ加熱処理によって作製した緻密な皮膜には、母材金属であるTi6Al4V合金に含有される為害元素であるVとAlが低減されていることを確認した。このうち、特に母材にてVが多く含有されていたβ相においてVが大きく低減されていた。また、SBF溶液（simulated body fluid; 模擬体液）浸漬試験によって形成した皮膜のHAp(hydroxyapatite; ハイドロキシアパタイト)形成能を評価したところ、緻密な網目構造の皮膜を有する方形波パルス電位を用いたアルカリ加熱処理試料は、通常の自然浸漬によるアルカリ加熱試料よりも多くの析出物が認められた。この析出物はEDS分析によりCa、Pを含有すること、XRD測定によりHApであることを確認した。このことは、方形波パルス電位を用いたアルカリ加熱処理によって、通常の自然浸漬によるアルカリ加熱処理と比較し、HAp形成能が向上した皮膜の作製成功を意味する。つまり、初年度に決定した最適条件で作製した皮膜の評価を行うことができ、本研究課題で目的としていたTi6Al4V合金に対し、皮膜の骨親和性向上、為害元素低減を、アルカリ加熱処理の際の電気化学条件の検討によって達成できた。
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| 今後の研究の推進方策 |
初年度の平成27年度にて、方形波パルス電位を用いたアルカリ加熱処理によって、通常の自然浸漬によって形成される皮膜よりも網目構造が緻密で同程度の厚みの皮膜の作製に成功した。2年目の平成28年度にて、方形波パルス電位を用いたアルカリ加熱処理によって作製した緻密な皮膜には、母材金属であるTi6Al4V合金に含有される為害元素であるVとAlが低減されており、特にVが多く含有されていたβ相においてVの低減を確認した。また、この緻密な皮膜はHAp形成能が通常の処理皮膜よりも高いことが確認された。このような皮膜構造の緻密化には皮膜作製の際の各種イオンの拡散も大きく影響を及ぼすと考えられる。そこで最終年度である平成29年度は、溶液条件を変化させることにより、皮膜の緻密化を行いたいと考えている。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
薬品や用具の購入にあたり、残金が小額であり使用が難しく、次年度と合算して薬品や用具を購入した方が有意義に使用できると判断したため、次年度へ小額の繰越となった。
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| 次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の予算と合算し、薬品や用具を購入する。
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