研究課題/領域番号 |
15K06486
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
池尾 直子 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80647644)
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研究分担者 |
向井 敏司 神戸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40254429)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体内分解性 |
研究実績の概要 |
生体内分解性に悪影響を与える不純物の少ない純マグネシウムおよびマグネシウム合金に対して、第一原理計算および実験から、結晶学的因子による生体内分解性への影響を調査した。今年度は第一原理計算および実験それぞれの、結晶学的因子による生体内分解性への影響の評価方法を確立した。 第一原理計算では、まずは純マグネシウムの材料表面に対する水分子の接近を模擬したモデルを使用し、生体内分解性に対する結晶学的因子の影響の解明を試みた。しかしながら、当初より計画していた本モデルでは計算量が非常に膨大となり、結晶学的因子の定量評価が難しいことが明らかとなった。次年度以降はマグネシウムの表面からの原子の脱離に要するエネルギーの計算などを行い、次年度は計算モデルの改良および改良モデルによる結晶学的因子の影響の定量評価を主な検討課題とする。 実験においては、今年度はまず、マグネシウムの生体内分解挙動評価用試料の作製手法および電気化学的手法を利用した生体内分解速度の定量評価手法を確立した。この結果、当初計画していたよりも、迅速に生体内分解量が評価可能となった。さらに、確立した実験手法を利用して、合金元素の添加量および底面配向度の上昇にともない生体内分解性が低下することを明らかにした。底面配向度および元素添加量の制御により強度が向上することが明らかとなっていることから、添加量および底面配向度を適切に選択することで、高強度化と生体内分解性が制御できることが改めて明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は第一原理計算による、生体内分解性速度に対する結晶学的因子の影響の解明に着手したものの、計算モデルの改善を中心に実施したため、計画当初よりも、達成に遅れを生じている。 この一方で実験の面においては、研究計画当初は利用を想定していなかった、電気化学的手法による生体内分解性の測定が可能となり、研究計画当初よりも定量評価が非常に容易となった。また、合金元素の添加量および底面配向度の増加による生体内分解性の変動を定量的に評価できたことから、全体として計画全体の進度は概ね順調に進展している、とした。
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今後の研究の推進方策 |
改良した計算モデルを用いて第一原理計算による結晶学的因子の影響の解明を実施するとともに、電気化学的試験を行い、合金元素の添加および底面配向度の影響について、さらに精査する予定である。また、双晶の導入にともなう、生体内分解性への影響の解明にも着手する。
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