これまで使用してきた電子線リソグラフィを活用した微細マーカー法に加えて,集束イオンビームによるマーキング法を模索し,ビーム電圧や電流といった各種条件の最適値を得て,300nm程度の間隔でのドットマーキングを可能とした.これらのマーキング法を,実用鋼のうちフェライトやマルテンサイト,ベイナイトといった内部組織の大きく異なる相を複合させた複合組織鋼に適用し,引張変形に伴う各相内部の塑性ひずみ分布を見積もることに成功した.その結果,メゾスコピックなスケールでの塑性変形の不均一性を可視化させることができ,硬相による塑性変形拘束のため軟相での局所ひずみが増大する傾向をより微細な領域において明らかにした.
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