研究課題/領域番号 |
15K06490
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
高橋 智 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (80260785)
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研究分担者 |
阿子島 めぐみ 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (20356356)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 表面・界面物性 / 複合材料・物性 / 構造・機能材料 / 溶射 |
研究実績の概要 |
火力発電の高効率化と省エネルギーを図るために、ガスタービン燃焼温度の高温化が進められており、動翼などの高温部材には遮熱コーティング(以下TBC)の適用が必要不可欠となっている。TBCは、超合金基材上に耐酸化金属コーティングをボンドコートとし、この表面にトップコートとして遮熱性に優れるセラミックコーティングを被覆した2層コーティングから構成される。このため、トップコートの熱伝導率だけでなく、トップコート/ボンドコート間およびボンドコート/基材間の界面熱抵抗も重要であるが、実際に測定できないため、定量的評価がなされていない。 そこで、本研究では多層モデルを対象としたレーザフラッシュ(LF)法による界面熱抵抗の理論的解析手法をTBCに適用し、TBCを構成する各層の界面熱抵抗評価方法を開発する。界面熱抵抗を組織情報と関連付けて評価し、界面熱抵抗の支配要因を究明する。 本年度は、TBCの代表的な成膜方法である溶射を用い、各種TBC試験片などを作製した。基材としてNi基超合金を用い、ボンドコートとして粒径が異なるCoNiCrAlY合金粉末を減圧プラズマ溶射し、その後、真空中で熱処理を実施した。トップコートとしてZrO2-8mass%Y2O3粉末を大気プラズマ溶射で被覆した。LF法によって、各種コーティング試験片を段階的に研磨しながら温度上昇曲線を室温・大気圧下で測定し、かさ密度等も踏まえて界面熱抵抗を導出した。その結果、トップコート/ボンドコート間に比べて、ボンドコート/基材間の界面熱抵抗は極めて低くいことが明らかになった。これによって、TBC試験片では(基材+ボンドコート)/トップコートの2層モデルとして界面熱抵抗を扱えば良いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TBCの界面熱抵抗を導出するためには、LF法によってTBC試験片の基材またはトップコートを段階的に研磨しながら厚さを変化させ、温度上昇曲線を繰返し測定しなければならない。しかし、研磨によってコーティングにダメージが入らないように、手動で慎重に研磨していたため、予想以上に作業時間を要してしまった。このため、当初の予定ほど多くの試験片を測定することができず、やや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
研磨作業時間の短縮化を図るために、専用のジグを設計・開発するとともに、自動研磨装置も取り入れて研究を推進させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
1)溶射メーカに協力いただいたお蔭で、溶射施工代や試験片作製打合せ旅費を使用せずに済んだ。 2)研磨作業効率の改善を図るために、自動研磨機を導入しようとしたが、予算残額が足りなかった。このため次年度に自動研磨機を導入することも視野に入れ、予算残額を次年度へ繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
測定時の研磨作業効率を高められるように、繰り越した予算も活用して研磨装置等の導入も新たに検討して研究を推進させる。多くの試験片のデータを収集し、研究成果を発表するとともに、関連する情報収集も積極的に行う。
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