研究課題
近年注目されているカバードステントを用いた動脈瘤治療の問題点には,血管壁とカバードステントの隙間からの血液再流入(エンドリーク)による動脈瘤の再発やカバー内腔に付着した血栓による内腔の閉塞,カバードステントの構造的な柔軟性の低さのために留置に困難を伴う点が挙げられる.本研究では,ナノファイバー紡糸技術とプラズマ技術によるカバー表面形状制御及び薬剤除法システムの融合により,上記課題を一挙に解決出来る新規カバードステントを開発することを目的としている.当該年度では下記1,2について明らかにした.1.塩基性細胞増殖因子(bFGF)を含浸させたリン脂質ポリマー(MPC)上にダイヤモンドライクカーボン(DLC)をマイクロパターニングすることで薬剤徐放システムを構築した.このシステムは,bFGF徐放が可能であり,医療用金属(SUS316L)に比べ,血小板付着数を95%以上抑制し優れた抗血栓性を示した.また,bFGF徐放性によりbFGFを徐放しない場合に比べ,培養12 時間後から試料の内皮細胞被覆率に有意な差がみられ,培養72 時間後には内皮細胞の被覆率に約20%の差があらわれた.このことからbFGFによる内皮細胞の増殖性向上が確かめられた.2.溶液濃度を変えたMPC溶液を用いて,エレクトロスピニング(ES)法により直径の違うMPCナノファイバーを作製し,血小板付着試験により抗血栓性を評価した.その結果,ファイバー径の増大に従って,血小板付着数も増加する結果が得られた.これより,ファイバー径が太くなるほど抗血栓性が低下することが明らかになった.
2: おおむね順調に進展している
当該年度の計画では,DLCをマイクロパターニングしたリン脂質ポリマーへの,bFGF徐放性付与の影響を評価することが目的であった.研究についてはほぼ計画通りサンプル作製,評価を実施できており,おおむね順調に推移していると言える.
次年度はbFGF徐放性抗血栓性ナノファイバーへの作製・評価を第一目的として研究を遂行する.抗血栓性ポリマー溶液にbFGF溶液を混合後,ES法によりナノファイバー化を実施する.作製したbFGF徐放性抗血栓性ナノファイバーのbFGF徐放特性や抗血栓性,内皮細胞増殖性を評価していくことで,最終年度の動物実験につなげていく.
実験計画修正により物品の購入を繰越した為
次年度計画に組み込み,物品購入予定
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (57件) (うち国際学会 11件、 招待講演 39件)
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