研究課題/領域番号 |
15K06493
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
永井 一清 明治大学, 理工学部, 教授 (40350269)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自己組織化 / 水素社会 / 水素分離 / 分離チャンネル / 膜分離 / ポリイミド / マクロイニチエータ / 薄膜 |
研究実績の概要 |
本研究は、水素社会の実現に不可欠な水素を、加速性分子篩作用により選択的に分離するナノ自己組織化分離チャンネルを有する革新的水素分離チャンネル膜を創製し、その新規分離機構の解明と分離性能の最適化を行うことを目的とする。①従来の高分子膜の溶解・拡散機構に基づく膜材料設計とは異なり、高度に分子設計されたポリイミドとメタクリル酸誘導体から成るABA型ブロックコポリマーにナノ自己組織化作用を発現させて水素分離チャンネルを形成させようとする。②ゼオライトに代表される無機多孔膜の様なジグザグ経路を取らない最短直線距離のチャンネルの形成を目指す。また無機物とは異なり、有機結合の分子振動を利用して分離チャンネルを透過する際の水素分子の拡散を加速させる材料設計をすることを特徴とする。 本研究は3年計画であり、ポリイミド(B成分)と水酸基含有メタクリル酸誘導体(A成分)から成るABA型ブロックコポリマーによるナノ自己組織化作用の発現による革新的水素分離チャンネル膜の創製とその新規分離機構の解明および分離性能の最適化を目的として研究を進めた。初年度である平成27年度は、ポリイミドマクロイニチエーターと水酸基含有ポリメタクリル酸セグメントのセグメント鎖長を変えたブロックコポリマーの合成をATRP法で行い、溶剤キャスト法による溶媒の揮発過程でナノ自己組織化を発現させ製膜した。得られた化合物は、1H-NMR, 13C-NMR, FTIRおよびGPC等を用いて化学構造を同定した。そして膜形態をSEMやPOM等の顕微鏡を用いて観察し、DSCやTGAを用いて膜の耐熱性を研究した。さらに当初次年度からの実施予定であった、当研究室で試作した測定装置を用いたガス透過実験の測定条件の検討に入ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
合成実験において当初よりも早く実験条件を見出すことができたため、次年度から実施予定であったガス透過実験にも取り掛かることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在までは計画を前倒しして実施することができているため、平成27年度と同様の方針で進めていく。合成、製膜、膜物性評価、水素ガス透過・分離性評価の一連の過程を繰り返し、各段階での考察をふまえ分離性能の最適化を図る計画の中で、平成27年度中にガス透過実験にまで進むことができた。すでに各段階での実験結果を考察し課題の抽出をしているため、これに基づき平成28年度において最適な膜構造の材料の合成を目指し、製膜、膜物性評価、水素ガス透過・分離性評価の一連の過程を繰り返して研究を進めて行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は当初の計画以上に順調に実施することができた。特に、合成実験において、当初よりも早く実験条件を見出すことができたために、試薬の購入費を抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、差額分を利用して試薬及びガスを購入し、合成実験およびガス分離実験の実施回数を増やすことにより、実験データの精度を高める予定である。
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