ランタンシリケートセラミックス焼結体組成、使用原料、混合・粉砕条件、仮焼条件および焼結条件の検討によって、前年度までよりさらに高い酸化物イオン伝導を示す焼結体を得ることができた。SOFC発電特性評価は、450、500、550℃の各温度にて、燃料極側に3%-H2(N2バランス)ガスを、空気極側にAirを流しながら実施した。空気極側および燃料極には共に、前年度まで最も良好なSOFC発電特性が得られたDCスパッタ法にて設けたPt電極に限定して、実験を進めた。電解質のランタンシリケートセラミックス焼結体の酸化物イオン伝導の向上によって、SOFC単セルの最大電力密度の向上が確認できた。さらに、ランタンシリケートセラミックス焼結体の結晶性を上げることも、SOFC単セルの最大電力密度の向上に効果があった。Pt電極と電解質のランタンシリケートセラミックス焼結体の間には接触面改良を狙い、緩衝層としてスピンコート法を用いてCeO2系セラミックス薄膜を設けており、そのCeO2系セラミックスの膜厚とSOFC単セルの最大電力密度との関係を調べたところ、最適な膜厚が存在することがわかった。また、緩衝層および電極と接する電解質のランタンシリケートセラミックス焼結体の表面粗さを精密機械研磨加工により鏡面状態に近付けることが、SOFC単セルの最大電力密度の向上に効果があることも確認できた。
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