研究実績の概要 |
本研究では、α-Al2O3およびNi合金粉末を対象に、種々のAD製膜条件で膜を作製し、作製した膜を対象に、種々の温度、時間において熱処理を施し、熱処理が膜の結晶粒組織や集合組織に与える効果を調べている。本年度の実績は以下の通りである。 ①AD製膜条件の確立:エアロゾルデポジッション(AD)法によってα-Al2O3粉末およびNi合金粉末をムライトあるいはMo基材へコーティングした。キャリアガスはN2およびHeを使用し、異なる粉末巻上流量(3~10L/min)、粉末搬送流量(3~10L/min)、粉末衝突角度(90°, 60°)、試料-ノズル間距離(3~8 mm)、によりAD製膜を実施した。膜の厚さは、1μm程度となるようにした。製膜した試料の膜厚は精密段差測定機をもって評価した。 ②熱処理条件による組織変化:ムライト基材の場合は大気中で、Mo基材の場合は真空中で実施した。種々の熱処理温度(900℃~1300℃)および時間(10~100h)にて熱処理を施し、コーティングの組織および集合組織変化に与える効果を調べた。 ③組織評価:製膜した試料および熱処理を施した試料を対象にFE-SEMにより結晶粒組織を観察した。面積法により結晶粒径分布を評価し、製膜条件および熱処理条件との関係を実験的に検討した。 ④集合組織評価:X線により製膜した面を対象にシュルツの反射法によって集合組織を測定した。使用したX線はCuのK線である。測定に用いる。α-Al2O3の回折線は11-12, 10-10, 11-23, 32-54の4つであり、Niの場合は、001, 011, 111の3つである。得られる回折線の強度をもとに結晶方位分布関数を用いて集合組織を評価した。さらに、主成分から15度以内の極の体積分率を元に集合組織評価を実施した。
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